くらすかたち あたらしいと、なつかしいがつながる暮らし

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グニラさんとのFIKAの時間「GOD JUL! スウェーデンのクリスマスの迎え方」

FIKA(フィーカ)とは、日本でいう10時や3時の「おやつの時間」のような、スウェーデンの伝統的な習慣です。
仕事中のコーヒーブレイクとして同僚とおしゃべりしたり、休みの日に外でちょっとお茶しよう、なんていうのもスウェーデンのFIKA文化なのだそうです。
グニラさんとのFIKAのおともは、手作りの美味しいお菓子。
コーヒーのおかわりもすすみ、時間が穏やかに流れます。
グニラさんのご自宅は愛着のある北欧のものたちに囲まれて、あれにもこれにも胸がときめいてしまう。その中にはお子様がまだ小さい頃に一緒に作った飾りものや、壁に掛かったたくさんの家族写真(ご主人はフォトグラファーなのです)も混じり、肩肘張らないナチュラルな心地よさが満ちています。
日々の暮らしの楽しさを感じられる素敵なおうちの空間でゆったりと過ごすFIKAの時間。
グニラさんに教わる、北欧のこと、暮らしのこと、ものやインテリアの色々なこと。
自分らしい暮らしのためのヒントや学びを、ゆるり綴っていこうと思います。

*FIKAは日本語では”フィーカ”と表されることが多いですが、スウェーデン語の発音は”フィーキャ”の響きに近いです

GOD JUL!(ゴ ユール!)はスウェーデン語でメリークリスマス!

12月というだけで忙しない空気に流されてなんだかソワソワしつつも、一年の終わりを迎える前の、この時期特有のにぎやかな街の雰囲気が好きです。
今日はグニラさんに「クリスマスを待つ間の特別なFIKA」にご招待していただきました。

グニラさんのお宅の外壁に飾られていた赤とシルバーの可愛いリース。
そして出迎えてくださったグニラさんの胸元にも、リースのブローチを発見!
私の頭の中は、もう一気にクリスマスモードです。

スウェーデン語でクリスマスは「JUL」(ユールと発音します)。
メリークリスマスは「GOD JUL」(ゴ ユール)と言うそうです。
グニラさんのキッチンのカフェカーテンも、この時期はクリスマス仕様に変えられて、赤い刺繍文字で「GOD JUL」と書かれています。

クリスマスを待ち望むアドベント

スウェーデンでは、クリスマスに一番近い日曜日から4週間さかのぼった日から、クリスマスの準備を始めます。
年によって異なりますが、だいたい11月の最終日曜日か12月の最初の日曜日が、それにあたります。
このクリスマス当日までの約1か月の期間を「アドベント」と呼んでいます。

ラテン語で「到来」を意味する「Adventus(アドベントゥス)」が語源とされているそうで、「キリストの降誕を待ち望む期間」という意味がありますが、現代では「クリスマスを楽しみに準備をする期間」として浸透しています。

クリスマスという日も、キリストの降誕を祝う日、という認識で、それはキリストの誕生日、ということではないそうです。
「聖書を読みこめば読みこむほど、キリストが生まれたのは冬ではないっぽいのよね。」と、グニラさんが教えてくれました。

キリスト教徒の人々にとっては大事な宗教的な行事でもありますが、受け継いだ伝統を大切にする、一年で一番のビッグイベント、という意味合いも大きいように感じます。

クリスマスシーズンの特別な飲み物「Glögg(グロッグ)」

ダイニングからふわっと、スパイスのいい香りがしてきました。
「今ちょうどGlöggを温めようとしていたのよ。」と言いながら、グニラさんは小鍋にワインを注ぎ、ホットワインの準備をしてくれています。

「Glögg(グロッグ)」とは、スパイス入りの赤ワインのことで、クリスマスシーズンに飲む特別な飲み物です。
日本でも輸入食品店などで市販のグロッグを購入できます。
飲むときは小さめの鍋や電子レンジで温めて、ホットワインにしていただきます。
グニラさん宅のグロッグの瓶はサンタクロースの衣装を着せてもらっています!

温まったグロッグを、小さめの陶器のカップに注いでくれるグニラさん。
このカップは娘さんの手作りだそうで、素敵なセンスと完成度の高さに驚いてしまいます。
湯気とともにグロッグのスパイシーな香りが高まり鼻腔をくすぐります。
スウェーデン式のグロッグの飲み方は、温めたグロッグにレーズンとアーモンドスライスを入れていただくそうです。
こういう特別な作法が「特別な飲み物感」をさらに増してくれるんじゃないかという気がします。

アドベントFIKAの定番メニュー

サンタクロースのキャンドルホルダーに火を入れて、さあ、アドベントFIKAの始まりです。

アドベントFIKAはまず、グロッグとジンジャークッキーから始まり、その後にケーキやサフランパンとコーヒーや食事、という順番が定番なのだそう。

まずは、先ほど温めてくださったグロッグに、レーズンとアーモンドをたっぷり入れて、いただきます。

スパイスの風味は香りほどに強くはなく控えめで、オレンジのような柑橘系の爽やかさと、蜂蜜のようなマイルドな甘さにホッとします。
八角や生姜なども入っているためか、少量でも体がポカポカしてきました。

外気温がマイナスになる真冬のスウェーデンにおいて、暖かい家の中でグロッグを飲むことはどれだけの冬の楽しみなのだろう。
想像するだけで、なんとも幸せな気分になります。

お子様やアルコールが飲めない方には、ノンアルコールのグロッグもあるそうですが、レーズンとアーモンドをスプーンですくって食べながらちょっとずつ飲めるので、お酒の弱い私でも、このアルコール入りのグロッグをリラックスして美味しくいただくことができました。

スウェーデンのジンジャークッキーの楽しみ方

「グロッグと一緒にクッキーもどうぞ。」
グニラさんがグロッグと一緒にハート型のジンジャークッキーを出してくれます。
スウェーデン語で「Pepparkakor(ペッパルカーカ)」と呼ばれるこのジンジャークッキーは、スウェーデンのクリスマスシーズンに欠かせない伝統的なお菓子の一つだそうで、食べる前に行うおまじないのような儀式があるのです。

まず、このクッキーを一枚手の平にのせ、願いごとを思い浮かべます。
このとき、願いごとは口に出してはいけません。
黙ったまま、反対の手を軽く握り、人差し指か中指の関節で上からコンと叩き割ります。
もしクッキーがきれいに3つに割れたら、成功です。
でも嬉しくて「わ!」とか「やった〜」なんて呟かないように。
黙ったままそのクッキーを食べ終えることができたら、願いごとが叶う、と言われています。
そして食べ終わっても、何を願ったかは言ってはいけないそう。
願うのも喜ぶのも、あくまでもひっそりと自分の内側だけで行うこと。(嬉しくてニヤニヤしちゃうのはOK!)
なかなか緊張感のある儀式です。

わあ!やっと上手に3つに割れました!
喋っちゃダメ、喋っちゃダメだけど、ニヤニヤが止まりません。
スウェーデンのジンジャークッキーはとても薄いので簡単に割れますが、意外と3つに割るのは難しいんです。
願いごと、叶うかな。

アドベントFIKAのテーブルセッティング

ジンジャークッキーを食べ終えたら、こちらも伝統的なスウェーデンのクリスマスのお菓子サフランパンと、チョコレートケーキ(ケーキの上の、苺に見立てたアポロが可愛い!)や、チョコチップとナッツの入ったクッキーを出してくださいました。
飲み物も、グロッグからコーヒーにチェンジして、アドベントFIKAの楽しい時間はまだまだ続きます。

クリスマスらしい赤が暖かな印象のダイニングテーブルの上には、たくさんのキャンドルの小さな炎がよく似合います。
蝋燭の炎の熱でオーナメントがゆっくり回転するロータリーキャンドルも、キラキラとクリスマスの華やかさを演出してくれます。

スウェーデンの住宅地には、クリスマスの飾りつけは家族だけでなく皆で楽しみましょう!という精神が根づいているそうで、どの家も窓辺にキャンドルや電飾の明るい飾りつけをして、雨戸などは絶対に閉めないそうです。(中には、雨戸禁止!というルールのある住宅地まであるとのこと)

「暗い時間が長い季節だから、暖かい灯りを家の中だけでなく外からも楽しめるように、という生活の知恵なんだと思うのよね。」とグニラさん。
太陽が沈んだ後の帰り道が、家々の窓から溢れてくる灯りで照らされていたら、きっと心もふわっと明るくなりますね。
スウェーデン始め、北欧の地域でキャンドル文化が発達しているのにもとてもうなずけるエピソードでした。

ルシア祭とサフランパン

赤い器に入っているのは、「Lussekatter(ルッセカット)」と呼ばれるもので、サフランで色づけした生地にレーズンを埋め込んで作られた、ほんのり甘い、これもこのクリスマスの時期に食べる特別なパンです。

旧暦の冬至、12月13日にスウェーデンで行われる「ルシア祭」には欠かせない食べ物なのだそう。
キリスト教の聖女ルシアを祝うとされていますが、暗くて寒いスウェーデンの冬を明るく照らし祝う、という意味もあるようです。
光のようなサフランパンの黄金色は、たしかに冬のダイニングに明かりを灯してくれているようにも見えます。

このS字のような不思議な形、地域によって形はさまざまのようですが、スウェーデン語のLussekatterの直訳は「ルシアの猫」という意味になるそうで、そう聞くと、猫のしっぽに見える気がしてしまいます。

ルシア祭当日のスウェーデンでは、ルシアの姫の役に選ばれた少女が白いガウンを纏い、リースとキャンドルで作った冠を頭にかぶり、同じく白いガウンのお付きの女の子達と、金の星の付いた白い三角帽をかぶった男の子達を従えて、「サンタルチア」の歌を歌いながら、サフランパンやジンジャークッキーを配り歩くのだそう。
ルシア姫の頭の上のキャンドルは、最近では危ないのでLEDライトを使うことも多いのだとか。

絵本に描かれるスウェーデンのクリスマス

グニラさんがスウェーデンのクリスマスの絵本をたくさん見せてくれました。
どれもお子さんがまだ小さかった頃の古い絵本ですが、今でも大切に手元に残しています。
お手伝いさんがいる大きなお屋敷の豪華なクリスマスだったり、家族や親戚みんなでほのぼのと準備する大衆的なクリスマスだったり、それぞれの絵本に描かれている背景は違うけれど、どれもカラフルで温かで楽しそうです。

日本のクリスマスは、アメリカのクリスマス文化からの影響が強いので、クリスマスと言えばサンタクロースとトナカイ、というイメージを持ちますが、スウェーデンのクリスマスには、サンタクロースではなく「トムテ」と呼ばれる、もしゃもしゃの顎ひげを生やし三角帽子を深くかぶった小人の妖精と、トナカイではなくヤギが登場します。
グニラさんが見せてくださった絵本のページにも、藁で作ったヤギのお面を付けた大人がプレゼントを持って登場するシーンが描かれています。(ちなみにこちらの絵本は「ペッテルとロッタのクリスマス」というタイトルで、日本語訳の本も出版されています)

玄関で出迎えてくれた赤い毛糸の編みぐるみも、トナカイではなくヤギなのだそう!

家中でクリスマスデコレーションを楽しむ

グニラさんのお宅は、全部見つけるのが難しいほど、家中のいたるところにクリスマスの飾りつけがされていて、スウェーデンの人々にとって、クリスマスはやっぱりとてもスペシャルなものなのだと感じます。

トムテの飾りも色々な場所に置かれています。クリスマス時期のトムテはユールトムテと呼ばれます。

出窓には、ユールトムテの手作りモビールが。
これは上の娘さんが小さい頃に一緒に作ったものだそうで、もうかれこれ何十年も活躍しているとのこと!
「毎年クリスマスになると、ママ、まだこれ使ってるの?って言われてるのよ。」とグニラさんが楽しそうに笑います。なんとも素敵なエピソードです。

「私が小さい頃はね、クリスマスの時期に森で雪の中に小さな穴が空いていたりすると、あ、トムテのお家かな?って本気で思ったりしていたのよ。」と教えてくれるグニラさん。
それだけトムテの存在が生活の中に馴染んでいる、ということなのだと思います。

トムテは農家の守護神とされているそうで、丁寧に敬えばその家に繁栄をもたらし、大事に扱われないとその家を捨てて出て行ってしまう、と言い伝えられているそうです。
そう教わって、日本の座敷童子の存在を思い出しました。
日々の生活の中に神や妖精の存在を意識することで、丁寧な暮らしを心がけられるのかもしれないなあ、と感じます。

クリスマスへのカウントダウン

アドベントの期間には、クリスマス当日を指折り数えながら楽しむような飾りつけもします。

例えばこの4本のキャンドル立ては、アドベントキャンドルと呼ばれるもので、アドベント期間が始まる最初の日曜日に一番左のキャンドルに火を点け、2週目にその隣のキャンドル、3週目にはもう一つ隣のキャンドル、と一本ずつ灯すキャンドルが増えていくので、クリスマスには右肩上がりのキャンドルになるのだそう。
今回お宅に伺ったのはアドベント1週目の12月初旬でしたので、左の一本だけに火が灯っています。
クリスマスが近づくごとに灯す炎が増えていくなんて、とてもロマンチックです。

玄関にはアドベントカレンダーも飾ってありました。
これはユールトムテではなく、サンタクロースでしょうか。
12月1日から24日までの期間、毎日一つずつその日のポケットを開けて、中に入っている小さなプレゼントを楽しみながら、クリスマスをカウントダウンします。

グニラさんのお宅のアドベントカレンダーは布製で、日付けのポケットに描かれたクリスマスのイラストが賑やかで楽しいです。

明日のポケットには何が入っているのかな?と思うワクワクが、待ち遠しいクリスマスをもっと楽しみにさせてくれます。

クリスマスツリーの飾りつけ

リビングの中央には、フェルトの赤いお星さまが可愛らしい、天井に届きそうな立派なクリスマスツリー。
去年までは毎年、スウェーデン時代の習慣を引き継いで、生のモミの木を購入してクリスマスツリーにしていたそうですが、環境のことや、これから先の準備の大変さなどを考慮して、今年からはイミテーションのツリーにすることに決めたのだそう。
言われなければイミテーションとは気づかないほど、精巧な造りのクリスマスツリーです。

「森からツリー用の木を切って来て、それをクリスマスイブの朝に家の中に設置して、それから飾りつけをしていたわね。」
と、子どもの頃のツリーの思い出を教えてくれるグニラさん。

たっぷりのオーナメントは、麦わら細工のものが多く飾られていました。

パンが主食のヨーロッパでは、麦わらには実りを司る穀物の神様がいると言われており、クリスマスには麦わら細工で数々のオーナメントが作られてきました。

日本では稲でお正月のしめ飾りを作ったり、燃やした灰を稲田に撒く行事があったりと、主食がパンのヨーロッパでは麦わら、米の日本では稲、という違いはあれど、新たな年の豊かな実りを願う気持ちには通じるものがあるように感じます。

スウェーデン流のクリスマスプレゼントの渡し方

日本やアメリカのクリスマスでは、子ども達への贈り物として、サンタクロースが枕もとにプレゼントを置いてくれたり、ぶら下げた靴下の中にプレゼントを入れてくれたり、ツリーの下にプレゼントが積み上がっていたりするものですが、スウェーデンのクリスマスでは、クリスマスに集まる家族全員が全員に対してギフトを用意してプレゼントし合うのだそうです。

「お金をかけたプレゼントじゃなくていいの。手作りのものでもいいのよ。心がこもっていれば嬉しいじゃない?」と言いながら、グニラさんが昔、下の娘さんからもらったという手作りのクリスマス飾りを見せてくれました。もちろん今でも現役のクリスマス飾りです!

アドベントから始まり、待ち望んだクリスマス当日を家族みんなで祝う楽しい時間は、かけがえのないものということがとても伝わってきます。

スウェーデンのクリスマスは、年を越えた1月13日の「聖クヌートの日」まで続きます。
クリスマスツリーもこの日までは出したままにしておくそうです。
家族で過ごしたクリスマスの楽しい余韻が長く続いてくれるのは嬉しいですね。

スウェーデンのクリスマスに教わること

「普段、神社やお寺に行かない人でも、お正月には行ったりするでしょう?スウェーデンでも、いつもは教会に行かない人でも、この時期には行く人が多いのよ。」とグニラさんが教えてくれます。
「私の母は、大掃除もクリスマス前にしていたわね。」

スウェーデンの人々にとってのクリスマスは、日本のお正月に近いのかもしれません。
準備をして家族でゆっくり過ごす時間も、皆の健康や幸せを願うことも、そこに流れる精神には似たものがあるように感じます。

日本に浸透しているクリスマス文化とはまたちょっと違うスウェーデンのクリスマスの過ごし方。
雪景色の中、家々から洩れる暖かな灯りが点々と見える光景を思い浮かべることができました。
クリスマスの知識が更新されて、毎年の12月をこれからもっと楽しめる気がしています。

ジンジャークッキー(Pepparkakor)の作り方

グニラさんから教えてもらった今回のFIKAのおとも「ジンジャークッキー/Pepparkakor」のレシピをご紹介。

材料(400枚分!)
A
マーガリン 300g
メープルシロップ 325g
砂糖 500g
生クリーム 300ml
B
小麦粉(薄力) 1kg
重曹 大さじ2
シナモン(粉末) 大さじ2
ジンジャー(粉末) 大さじ2
クローブ(粉末) 大さじ2
作り方
①   鍋にAの材料をすべて入れ、弱火でじっくり溶かして混ぜ合わせる
②   大きめのボウルにBの材料を入れ、ムラのないように混ぜ合わせる
③   ②のボウルに①を少しずつ加えながらざっくり混ぜる
④   ③のボウルにラップをかけて(乾燥しないように)、一晩常温で寝かせる
⑤   一晩寝かせた④を少しずつ取り出し、めん棒で伸ばし好きな形の型で抜く
⑥ 190°のオーブンで5分半焼いて出来上がり!

グニラさんとのFIKAの時間「モノについて教わる、秋のFIKA」

FIKA(フィーカ)とは、日本でいう10時や3時の「おやつの時間」のような、スウェーデンの伝統的な習慣です。
仕事中のコーヒーブレイクとして同僚とおしゃべりしたり、休みの日に外でちょっとお茶しよう、なんていうのもスウェーデンのFIKA文化なのだそうです。
グニラさんとのFIKAのおともは、手作りの美味しいお菓子。
コーヒーのおかわりもすすみ、時間が穏やかに流れます。
グニラさんのご自宅は愛着のある北欧のものたちに囲まれて、あれにもこれにも胸がときめいてしまう。その中にはお子様がまだ小さい頃に一緒に作った飾りものや、壁に掛かったたくさんの家族写真(ご主人はフォトグラファーなのです)も混じり、肩肘張らないナチュラルな心地よさが満ちています。
日々の暮らしの楽しさを感じられる素敵なおうちの空間でゆったりと過ごすFIKAの時間。
グニラさんに教わる、北欧のこと、暮らしのこと、ものやインテリアの色々なこと。
自分らしい暮らしのためのヒントや学びを、ゆるり綴っていこうと思います。

*FIKAは日本語では”フィーカ”と表されることが多いですが、スウェーデン語の発音は”フィーキャ”の響きに近いです

秋らしいFIKAのテーブルセッティング

10月中旬、ピカイチの秋晴れ。
グニラさんの家に向かいながら考えごとをしていたけれど、天気が良すぎて忘れてしまいました。

ご自宅へお邪魔して最初に目にした、庭先の立派なキンモクセイ。
まあるく茂ったグニラさん宅のシンボルツリーは特に剪定もせずにこの形なんだそう!
近づいて、香りを胸いっぱいに吸いこんで。
今年の夏は長かったけれど、ちゃんと秋が来たなあと嬉しくなります。

さて、今回のFIKAのテーブルセッティング。

落ち着いた赤を基調にしたチェック柄のテーブルクロスの上には、キンモクセイよりも濃いめのオレンジ色の取り皿や、太めのキャンドル。

暖かな秋のテーブルコーディネートです。

「今日はこの色にしましょうか。」
マグカップも赤や黄色のものを出してくれました。
ペーパーナプキンの淡いグリーンがさわやかな秋風のように軽やかです。

お皿に沿ってピッタリ添えられたペーパーナプキン。
こんなふうに角を折って置いてくださっているので、使いたい時にスッと取れて便利でした。
ペーパーナプキンって自分のためだけに使うのはもったいなくて、お客様が来てくれた時に出そうと思って忘れてしまうけれど、こんなおもてなしがさらっとできるようになりたいものです。

出窓から入る光に透けるススキにうっとり。
このススキはお散歩の途中で顔見知りのご婦人からいただいたものだそう。日常の中の素敵なギフトですね。
おもちゃみたいなパンプキンもさりげなく並んでいます。

季節を楽しむインテリアのコツを知る

昨年の冬に初めてグニラさんのお宅へお邪魔して以来、春夏そして秋と、季節ごとにお伺いして思ったことは、グニラさんは季節のインテリアコーディネートがとてもお上手、ということです。

家具を変えたり移動したり、といった大きな変化ではなくて、ダイニングや、その隣の出窓、リビングのサイドテーブルの上といった、ゆっくり過ごす場所を中心に、季節の小物、テーブルリネン、季節の草花、キャンドルなどを組み合わせて、座った時に目で見て楽しめるようになっていると感じます。

窓や壁のちょっとしたスペースも、季節ごとにファブリックをチェンジして。

例えば、目に入りやすいキッチンの一角にかかっているクロスの色が変わっていたり、出窓のカフェカーテンも通年白を基調としながらも、季節感のある差し色の入ったものに変えられていたり。
ソファの上のブランケットもさりげなく変わっていたり、といった具合。

そこだけを見ると「あれ変わった?」ぐらいの印象でも、少し引いて全体を見れば、「あれ変わってる!」と雰囲気の変化を感じられます。

掃き出し窓のカーテンを変える、というような大きな空間の作業だと億劫になってしまいそうだけれど、どこかの一角や小さな窓のファブリックやブランケットなら、ハードルがぐんと下がります。
グニラさんにとっては自然な習慣でも、私にとっては真似したいテクニックです。

ふた付き円形ボックス オーク M(スカンジナビスク・ヘムスロイド)

たくさんのアイテムをどうやって管理しているのか尋ねると、
「この時期はこれを出すって決めてまとめてあるのよ。」と教えてくれました。

ある程度、その季節に使うものをセットにしてまとめておけば、しまう時にも出す時にもわかりやすく、インテリアチェンジがスムーズに進められて良いですね。

季節ごとのそういう作業が当たり前のように身についているグニラさんならではの工夫だと思います。

シンプルで美味しい、スウェーデンのワッフル

「もう生地は作ってあるから、いつでも焼けますよ!」
グニラさんが冷蔵庫から生クリームとジャムを取り出しながら、声をかけてくれます。

今日のFIKAのおともはワッフルです。

私のワッフルのイメージは、ベルギーワッフルと呼ばれるもの。
大きめのデコボコの格子状で、溝のへこみは深めです。
外側は少しかためでサックリ、中はしっとりの食感で、個包装になっているものを買ったり、カフェメニューとして見かけることもあるものです。

「私はベルギーワッフルは日本に来て初めて食べたの。」
と言うグニラさんが用意してくださるスウェーデンスタイルのワッフルとは、一体どんなものなのでしょう。

使うのは丸い形のワッフルメーカー。
スウェーデンではハートが合わさったクローバー型をしたものもよくあるそうです。
日本では四角い形のものが多いでしょうか。

スウェーデンは薄いワッフルが主流。
ワッフルメーカーの内側の溝もかなり浅めに作られています。
でも実はこれ、アメリカで買ったものなのだそう。

スウェーデンで使っていたワッフルメーカーは、コンセントの形状も電圧も異なるので置いてくることにして、日本に移住してから買い直すつもりでいたグニラさん。

ただ当時の日本ではこのようなワッフルメーカーを見つけることができず、寂しい思いをされていたそう。

「そんな時に、よっちゃんが出張先のアメリカのお土産で買って来てくれたのがこれなのよ。」
と、旦那様との素敵な思い出話を聞かせてくれました。

それから30年以上経った今日も、変わらず現役というから驚きです。

ひとかけのバターが溶けたら、生地を流しこみ焼いていきます。

グニラさんの「とっても簡単にできちゃう!」の言葉のとおり、5分もかからずにもう焼き上がり!

「スウェーデンのワッフルは、とってもシンプルなのよね。」
ストロベリーとブルーベリーの2種類のジャムをちょんとつけて、生クリームはたっぷりのせて。
ジャムと生クリーム、両方のせるのがスウェーデンスタイルです。

生地はふわふわで、しっとり柔らかくて、ほんのり甘い。
生クリームとジャムとが相まって、口の中にワッフルの甘さが広がります。

薄いからと言い訳をつけて、あっという間に完食してしまいました。
これは永遠に食べられそう、なんて思っていたら、グニラさんが思い出したように呟きます。

「子どもの頃、私たちが4枚も5枚も食べるから、お母さんはずっと立ちっぱなしでワッフルを焼き続けてくれたのね。申し訳ないことをしてたわね。」

たしかに夢中で食べ続けてしまうのもやむなしの美味しさです。
(優しいグニラさんは、このあとおかわりを焼いてくれました。)

スウェーデンの春と秋はワッフルの季節

イースターの時期の「セムラ」も今回の「ワッフル」も、食べるようになった起源はキリスト教に由来すると言われています。

キリストが生まれた日(12月25日)からさかのぼり、9か月前にあたる3月25日を「聖マリア受胎告知の日」と定め、お祝いしたことから始まります。

Jungfru Maria(聖マリア)の別名「Var Fru(ヴォールフル)」がその響きからだんだん変化して、3月25日が「Vaffeldagen(ヴォッフェルダーゲン)ワッフルの日」と認識されるようになった、とのことです。

この「ワッフルの日」の春先の気候に近いからなのか、少し肌寒くなってきた秋にもワッフルをよく食べる習慣があるのだそうです。

秋の定番メニュー

スウェーデンの秋の食卓には、グラタンのようなオーブン料理が並ぶことが多いそうです。
外も寒くなり、温かい料理が食べたくなる季節です。

10月のスウェーデンはハンティングシーズン。
グニラさんのご実家でも、猟帰りのハンターからオオカモシカの肉をもらい、シチューにして食べたりしていたとのこと。

スウェーデンは世界の中でも狩猟免許を持っている人口が多い国。
猟をすることで、野生動物が増えすぎて森を荒らさないように調節することにもつながっています。

スウェーデンの秋の味覚

きのこは、スウェーデンでも秋の味覚です。

フィンランドが舞台の映画『かもめ食堂』にも出てくる黄金色の「カンタレッリ(日本名はアンズタケ)」は、スウェーデンでも秋の一番人気のきのこのようで、スウェーデン語でも「カンタレッリ」と発音します。

これは10年前の秋に訪れたヘルシンキの市場で売られていたカンタレッリです。
どうです?お宝箱にザクザク入った小判が、黄金色に光っているように見えませんか?

北欧では森でのベリー摘みやきのこ狩りは自由に楽しむことができます。
グニラさんは笑いながら、きのこ狩りの思い出を教えてくれます。
「私は探すのが苦手だったのよ。場所を知っている人も自分だけの秘密の場所なので教えてくれない。買うと結構高いのよ。」
なんだか松茸の話を聞いているみたい。

きのこ狩りで採ってきたきのこは冷凍したり、干したりして保存する人もいるようで、「それは椎茸みたいですね」と笑ってしまいました。

スウェーデンも日本と同じように、たくさんの果物が秋に収穫の時期を迎えます。
りんごや洋梨やプラム、それからベリー類などがそうです。

グニラさんのご実家にはりんごの木があり、収穫して食べきれない分は1年分のジャムにして、朝食のオートミールにかけて食べていたそう。

「ジャムを作る時はね、近所の年配の女性たちと一緒にとにかくずーっと皮を剥き続けるのよ。」

りんごの木の下に座って、楽しくお話ししながら作業する女性たちの光景が目に浮かびます。

ジャムの発祥地は北欧だとも言われているそうで、実際にグニラさんのFIKAのテーブルにもジャムが並ぶことが多いです。ミートボールやポテト、お肉にもジャムを添える食文化があるように、ジャムの存在がとても身近なのだと感じます。

使いながらモノを大事にする

グニラさんに、これはどこで買ったのですか?と聞くと、
「これはいただいたものなのよ。」という返答がたびたびあることに驚きます。
グニラさん自身が厳選して長年使っているものなのだと思っていたからです。

ご家族からの贈り物が多い印象ですが、どれもグニラさんの好みをよく知った上で吟味して贈られているものだと感じます。

これはお姉様や叔母様から贈られたリネン類や、職人のハンドメイドのバスケットやかごの数々。
こういった手がこんでいて高価なものは、自分で買うことももちろんあるけれど、いただいたり、贈ったりすることのほうが多いそうです。

この刺繍はこういう意味でね、と説明しながらリネンを1枚ずつ嬉しそうに見せてくれるグニラさん。
それぞれに思い入れがあり、要所要所で大切に使い続けているのが伝わります。

お気に入りの1枚にシミがついているのを見つけると、落胆するのではなく、
「あらシミがついちゃってるわね、ここだけ漂白しなくっちゃね。」とチャーミングな切り返し。

“日本人のもったいない精神” が知らぬ間に身についてしまっている私が、もったいなくて使えないと思ってしまうことがあると呟くと、グニラさんは優しく、「使う機会がないまましまっておくのももったいないかもしれないわね。」とにっこり。

使うことが『大事にすること』という捉え方で、どんどん使うことでもっと大事にしていけるのかもしれません。きっとそのほうが、モノも人も幸せになれるんじゃないかと思いました。

グニラさんのモノの選び方、使い方

グニラさんの選ぶものは『長く使う』ことが見えているものばかりのような気がします。

置物、花瓶、お皿やカトラリーでも、シンプルなデザインだけれど飽きのこない少しのユニークさがあったり、柄や模様が特徴的なデザインのものも使い勝手のいい大きさや形だったり。

グニラさんのモノたちからは、日々の暮らしの中で、実際に使ったり愛でたりしてきた時間だけが纏わせることのできる、風合いや味わいが漂っているように感じます。

そういう時間をかけて一緒に過ごしてきたモノたちと、季節や暮らしのその時々で、鮮やかさを足してくれるようなカジュアルなアイテムとを、さりげなく上手に組み合わせています。

大きさ違いで並べた秋色のIKEAのキャンドルの隣りに、北欧で人気のある「ERNST」のキャンドルホルダー。
これは筒状のホルダー部分が、正方形の受け皿とマグネットでくっつくようになっていて、キャンドルが倒れにくい仕組みになっているスグレモノ。(しかも受け皿のどこにでもホルダーの位置を動かせます)

そのまま使えばシンプルでスタイリッシュな見た目ですが、受け皿部分に拾った松ぼっくりやきれいな落ち葉など、気分を盛り上げてくれる季節の飾りを入れれば一気に華やかに。

こういうグニラさんのセンスに触れるたび、興味と憧れは増すばかりです。

北欧 バスケット
柳のギフトバッグ(ピヌム・パサウレ/ラトビア)

たくさん持っているリネンは大きさが微妙に異なるので、まずはカゴに入れてみて雰囲気を確認。
カゴにはピッタリのサイズ感のものを敷いたり、大きめのものを少しはみ出させてみたり、自由に使って楽しんでいいんです。

北欧 スウェーデン かご
左端:柳のマッシュルームバスケット M(ピヌム・パサウレ/ラトビア)

地震大国の日本でも、カゴ類なら大きいものでも安心して高いところに飾れます。
本来の用途として中身を入れて使う時以外はしまいこむのではなく、こうしてカゴやバスケット、それ自体を飾って楽しむ、というのもひとつの使い方ですね。
同じ形のものが並べてあるのも可愛いです。

お気に入りのモノを使う

いつも季節や料理に合わせてさまざまな食器を出してくれるグニラさん。
お客様用と日常使いのものとはそこまで分けず、お客様の人数や季節、その時の気分に合わせて、自由に楽しく使っています。

ぬくもりのある存在感の食器棚の中には、ひとつひとつ説明できるほど使い馴染んだたくさんの食器たち。
少し覗かせていただきました。

FIKAには欠かせない、グニラさん特製のスイーツを取り分けるのに使うトングやサービングスプーン。

お手入れは必要だけれど、複雑で美しい模様の銀のカトラリーたち。

イギリスで購入したガラス製のカップアンドソーサー。
これはアイリッシュコーヒー用で、グニラさんのお気に入り。

取っ手のかたちのユニークな日本製のマグカップ。グッと掴むように持ちます。
ジョッキになりそうなほど大きいですが、この取っ手のおかげでとても持ちやすいのです。

カナダで買ったグラスチャーム。
グラスチャームとは、パーティーやお茶会など人が集まる場所で、自分のグラスを見失わないためにグラスにつける目印の飾りのこと。
このグラスチャームには、”Favorite Food” や “Best Joke” など、チャームに書かれたテーマを話さなければならないというお遊びのルールがあるようです。それをきっかけに会話が弾むように、という工夫ですよね。面白いです。
「同じ人たちとの集まりで、何度も “Best Joke” のチャームが回ってきちゃったら困るわね。そのジョークもう知ってる!って言われちゃうわ。」とお茶目なグニラさん。

こだわるし、こだわらない

グニラさんを見ていると、こだわらないというのは「なんでもいい」ということではなくて、好きなものを使っている中でのちょっとしたハプニングも楽しめる、ということなのかなと思います。

ちょっと汚れたけどまあいいか、ひとつ割れちゃったけどまあいいか、といった具合に。

こだわっていると感じるのは、好きなものを選んで使うというところです。

帰り際に出窓の隅へふと目をやると、ハサミ型の鳥のペーパースタンドを見つけました。

こういうものは一期一会の出会いだと思うんです。

グニラさんのように、自分の好きなものに素直でいること、日々の暮らしを楽しむことが、魅力的なものを引き寄せる感覚をくれるような気がしています。

スウェーデン風ワッフルの作り方

グニラさんから教えてもらった今回のFIKAのおとも「スウェーデン風ワッフル」のレシピをご紹介。

材料
マーガリン(溶かしたもの) 150〜200g
牛乳 400cc
★小麦粉 450cc
★ベーキングパウダー 小さじ1
★砂糖 大さじ2
★塩 少々
トッピングにジャムや生クリームをどうぞ
作り方
① ★の材料をよく混ぜる
② ①にマーガリンを入れて混ぜる
③ 牛乳を少しずつ入れて、ダマにならないようによく混ぜる
④ ワッフルメーカーにバターをひとかけ入れて馴染ませる
⑤ 焦げ目がつかない程度に焼く
⑥ ジャムと生クリームをお好きなだけ載せて完成!

A°CTSとBIBと中目黒

中目黒A℃TS(アクツオブフェイス)

26年前の決心

今から四半世紀と少し前、1997年の中目黒は、まだ今のように人の集まる人気エリアではありませんでした。

目黒川沿いにはショップもほとんどなく、両岸に植えられた桜並木もまだ背丈の低い若木でした。

それでも目の前を川が流れる落ち着いた立地に惹かれたA°CTS(アクツ)代表の高野博次さんは、この地に店を構えることを決めました。

「なぜだか自分がこの先もこの場所で笑って立っている将来を思い描くことができたんです。」と教えてくれる高野さんには、「川があるから、界隈の佇まいはこの先も大きく変わることはないだろう」という先見の明もありました。

そしてその読みのとおり、その後駅前の開発が進み、川沿いにはショップが増え、またそれらが入れ替わり、桜の木々が大きく成長していく中で、A°CTSが立つ場所周辺の佇まいは当時とそう変わらないまま、今日に至っているのです。

1997年、設立したばかりのA°CTSの店舗から見た目黒川沿いの通りの風景(画像提供・高野さん)

A°CTSの立つ場所 – 目黒川沿いの日常

平日朝8時頃の目黒川沿い
宿山橋とソメイヨシノの木陰
朝日橋の欄干にある朝日のレリーフ

目黒川は世田谷区から目黒区、品川区を流れ東京湾に注ぐ、全長8kmほどの川です。
目黒川に架かる50本以上ある橋のうち、中目黒駅から山手通りまでの1kmの間には10本の橋があります。

このエリアの川沿いの道は川を挟んでそれぞれ一方通行で、道幅もそんなに広くありません。
そこに約90mにつき一本という密な頻度で橋が架かるため、通る車のスピードも歩く人のペースも自然とゆっくりになるように感じます。

頭上には大きなソメイヨシノの枝がアーチを作り、その心地よい木陰には東京の都心部とは思えないような空気が漂います。
通りを一つ入っただけなのに、すぐ近くの大通りとはあきらかに違う空気が流れるここは、都会の日常の中のオアシスのような場所とも言えるのかもしれません。

そんな目黒川沿いの宿山橋と朝日橋の間に、A°CTSのショップは立っています。

両開きに大きく開かれた特徴的なA°CTSの赤い入口ドアは、川沿いの道の中でも目を引きます。
そしてそのドアからは、散歩がてらにふらっと立ち寄りやすいフレンドリーな雰囲気が流れ出ています。

オールドアメリカンな空気感の店内には、ユニセックスで使えるようなカジュアルでユニークなデザインの衣料品や雑貨が並びます。

店内の一角にはガラスで仕切られた刺繍ブースがあり、運が良ければこの中で作業する高野さんの姿に会えることもあるようです。

刺繍ブースで作業する高野さん

気分が上がるワークエプロン「BIB」

高野さんがデザインするこだわりのワークエプロン「BIB(ビブ)」は、今では海外にもファンができるほど、沢山の人々に愛される、A°CTSの主力商品に育っています。

BIBが生まれて今年(2023年)で10年目。
身に付けると気分が上がるワークエプロン「BIB」とは、どんなものなのでしょう。

「BIB」とは元々の英語では、ベビーのスタイや、いわゆるエプロンのような胸当てなどのことを意味しますが、日本で多く知られているのは、スポーツやイベント事で身に付けるベスト状のゼッケンのようなものを指す言葉だと思います。

高野さんは、このBIBという言葉に、”BE IN THE BAG”(”全てうまくいく”の意)という英語のスラングの略としての新しい意味を与え、丈夫かつ機能性もファッション性も兼ね備えたワークエプロンとして商品化しました。

これまでに80型ものBIBを製作し、そのうちのいくつかは改良を重ねながらoriginals(オリジナルズ)と呼ばれる定番の型にもなっています。

BIBを着て開店前に道路の掃き掃除や水撒きをするショップスタッフ斉藤さんの姿は朝の町の風景の一部です。

そんなoriginalsの中でも人気の型、ロングセラーのChicago1(シカゴワン)は、外で座ってもズボンやスカートのお尻が汚れないようにと、後ろ見頃の方が少し長めに作られています。
お尻まですっぽり隠れるデザインで女性人気も高い型だそうです。

店内にディスプレイされているフィギュアたちも、なんとミニチュアのBIBを身に付けています。

「この中央のChicago1を着ているのがリチャードといって、彼はイギリスからアメリカへ移民としてやって来た仕立て職人なんです。趣味のハイキングに行く際に、両手の空く”着るバッグ”としてBIBを考案したんです。Chicago1というネーミングは、ルート66沿いにあるシカゴの町でイメージを湧かせて作った型なんですよ。」

と、真剣な顔で教えてくれた直後に、

「という設定の”BIB誕生秘話”ということにしていますが、実は作っているのは全部僕です。」

と続ける高野さん。

自分を前面に出すのはどうも恥ずかしくて、と照れ笑いする高野さんですが、そこには隠しきれない遊び心が溢れちゃっているように感じます。

プリン屋マハカラさんの勝負服

A°CTSと小道を挟んですぐお隣の建物には、高野さんと同じ関西出身でとても気心の知れた間柄の金丸さんが経営するプリン屋さんと居酒屋さんが入っています。

お隣のプリン屋さん「マハカラ」
BIBがユニフォーム。マハカラさんのキッチン風景

ここのお店のユニフォームもまたChicago1!

『自分たちのやる気がアピールできる、勝負服になるユニフォーム』として、金丸さんはスタッフのエプロンにBIBを採用することを決めてくれたそうです。

「お店の重要な要素として貢献させてもらえていること、そしてすぐ身近で日々愛用している姿を見せてもらえていることは、とてもありがたいですし嬉しいことですね。」と高野さん。

BIBには有料のリペアサービスもあるので、気に入ったものを長く使い続けられるのも魅力的です。

真面目な話と冗談を織り交ぜながら大笑いし合う高野さんと金丸さん。信頼関係が滲み出ます。
作り立ての瓶詰め「マハカラのうれしいプリン。」

使いこむことで高まるBIBの魅力

A°CTSの店頭には、金丸さんのお店のように実際にユニフォームとして使いこまれたデニム地のChicago1が2着、ディスプレイされています。

濃い色のデニム地は施工屋さん、薄い色のデニム地はホットドッグ屋さんによって、それぞれ使いこまれたものだそうです。

共にリペアを希望され高野さんの元へ戻って来たBIBですが、年月をかけて使いこんだからこそ出る風合いにグッときてしまった高野さんは、ぜひ店頭に置かせてほしいと頼みこみ、ユーザーさんの元へは新品を贈った、というエピソードが。

それほどに、愛用してきたからこそ現れる表情には新品とはまた違う、経年変化ならではの代え難い魅力が出てしまうものなのですね。

リペアのサンプルとしても手に取って見てもらえるように、一部には実際に補修が施された状態で店頭に飾られている年季の入ったChicago1は、どこかとても誇らしげです。

ドットボタンの周囲をミシンのステッチで補強した細部

サステイナブルという言葉が世の中に浸透して久しいですが、そもそもそんな言葉を声高に叫ばなくったって、ずっと長く使い続けられるしっかりした良いもの、使い続けたいという愛着を感じられるものを手にしていれば、すでにそれがサステイナブルな状態なのじゃないかと思うのです。

また、使いこむことで新品とは違う魅力が出てくるもの、穴が空いたり壊れたりしても、ダーニング(ヨーロッパの伝統的な布ものの繕い方法)や金継ぎ(日本の伝統的な器などの修復方法)のようにリペアを施して、新たな愛着を付与し更に使い続けるもの、そういうモノとの付き合い方や暮らし方って素敵だなあと感じます。

ヴィンテージの刺繍ミシンに魅了されて

アメリカのシンガー社製のヴィンテージのハンドルミシン
ミシン台の下部の丸みのあるハンドルを握りぐるぐると回しながら刺繍します。

A°CTSのショップ内にある刺繍ブースには、古いハンドルミシンが置かれています。
ハンドルミシンとは、半自動半手動でチェーンステッチの刺繍を施せるミシンです。

とあるイベントで初めてハンドルミシンの実演を目にした高野さんは衝撃が走ったそう。

そしてどうしても自分でもやってみたくなってしまい、色々探してようやく手に入れたという美しいヴィンテージのハンドルミシン。

このタイプのハンドルミシンは現在は生産されておらず、高野さんは100年前に作られたミシンを使い、ミシン台の下部に付いた手動のハンドルをぐるぐると回しながら文字や数字やイラストの刺繍を施していきます。

ミシン自体は電動で動きますが、糸の運びをコントロールするのは手の動きなので、一つ一つが全く同じ仕上がりにはならず、それが、味わいと個性を生み出しています。

高野さんのハンドルミシンによるチェーンステッチは、刺繍だからこその繊細さを持ちつつも、ちょっとワイルドで独特な可愛らしさもある、愛すべき仕上がりになるのです。

BIBにワンポイントの刺繍を入れれば、より愛着の湧く、ONE AND ONLYの一着になること間違いなしです。

チェーンステッチの刺繍によるポコポコとした盛り上がりのある細部
店内の壁に飾られているハンドル刺繍を繋ぎ合わせたタペストリー

「ハンドルミシンを操作するときの音や振動は、昔乗っていたバイクを走らせているときの体感に似ているんですよ。」と楽しそうに目を細める高野さん。

それだけでなく、「昔のものづくりの技術も大切に残したい」という志も持っている高野さんの口からは「温故知新」という言葉も出てきます。

次々に早い展開で移り変わっていくのではない、モノやコトとの向き合い方。そういうスタンスから得られる発見や経験には、人生を豊かにしてくれるヒントが沢山あるような気がします。

東日本大震災で感じたA°CTSの存在意義

「2011年に起きた東日本大震災は、僕と店の意識を変える経験になりました。」と高野さんは言います。

震災が起きてからしばらくは、目黒川沿いに並ぶ店からは灯りが消え、町並みは真っ暗になってしまっていたのだそうです。

何かできることをと考えた高野さんは、ならば自分たちが町の灯りになろうと、店を開けることに決めました。

「ある夜、帰り道を行く人から、店の灯りが見えるとホッとする、という声を聞くことができたんです。その言葉が、自分がこの場所に存在することの意味を再確認するきっかけになりました。」と高野さん。

「あの震災のときが町との関わり方のターニングポイントでもあったし、自分の中での価値観が変わったときでもありました。」と教えてくれました。

「僕はこの場所に生かされているんです。」と真っ直ぐ前を見つめる高野さんの目には、開かれた店のドアの先に広がる桜並木が映ります。

この地で生まれた人との結び付きや、この場所に店を構えていることの意義を大切にしながら、今日も高野さんは笑顔でここに立っています。

中目黒生まれのBIBから

しっかり自分の目で見ることのできる手の届く範囲の暮らしを大切に丁寧に営むこと。

優れた魅力的な商品の背景には、そういう作り手の信念のようなものが滲み出ているのだな、と今回高野さんのお話を聞く中で改めて感じました。

BIBが「身に付けると気分が上がる」のには、そのように裏打ちされた理由があったのですね。

やる気を高めてくれる中目黒生まれのBIBを着て、背すじ伸ばしてテンション上げて、さあ今日も一日を始めていきますか!

奥様と斉藤さんと一緒に店先に立つ高野さん

A°CTS @acts97
東京都目黒区青葉台1-21-11
水曜定休
OPEN 12時〜20時

グニラさんとのFIKAの時間「ミッドサマー(夏至祭)を楽しみましょう!」

FIKA(フィーカ)とは、日本でいう10時や3時の「おやつの時間」のような、スウェーデンの伝統的な習慣です。
仕事中のコーヒーブレイクとして同僚とおしゃべりしたり、休みの日に外でちょっとお茶しよう、なんていうのもスウェーデンのFIKA文化なのだそうです。
グニラさんとのFIKAのおともは、手作りの美味しいお菓子。
コーヒーのおかわりもすすみ、時間が穏やかに流れます。
グニラさんのご自宅は愛着のある北欧のものたちに囲まれて、あれにもこれにも胸がときめいてしまう。その中にはお子様がまだ小さい頃に一緒に作った飾りものや、壁に掛かったたくさんの家族写真(ご主人はフォトグラファーなのです)も混じり、肩肘張らないナチュラルな心地よさが満ちています。
日々の暮らしの楽しさを感じられる素敵なおうちの空間でゆったりと過ごすFIKAの時間。
グニラさんに教わる、北欧のこと、暮らしのこと、ものやインテリアの色々なこと。
自分らしい暮らしのためのヒントや学びを、ゆるり綴っていこうと思います。

*FIKAは日本語では”フィーカ”と表されることが多いですが、スウェーデン語の発音は”フィーキャ”の響きに近いです

スウェーデンのミッドサマー(夏至祭)とはなんでしょう?

6月下旬、関東地方は梅雨まっただ中。

グニラさんのお宅へ伺うと、玄関横に植えられた鮮やかな青紫色の紫陽花がまずは私たちをお出迎えしてくれました。

今回のFIKAのテーマはミッドサマーです。

ミッドサマーとは夏の到来を祝うスウェーデンで開催されるお祭りのこと。(スウェーデン語ではミッドソンマルと言うそうです)

スウェーデンに住む人々にとっては、冬のクリスマスと同じくらいに大きな夏のイベントなのだそう。

待ちに待った夏を喜び祝うという感覚に共感、とまではいきませんが、以前は夏至のことを「一年で一番日が長い日」というほどにしか認識していなかった私でも、夏の北欧に何度か足を運ぶ機会を得てからはその感覚が少しわかるような気がしています。

夏至の日は世界共通で年によって変わりますが、6月22日頃です。

日本ではジメッとした湿気のジリジリ暑くなる日々が続きますが、北欧地方では夏の到来を感じさせる眩しい日差しの日が多くなります。

白夜のため22時頃でもまだ明るくて、日が昇る時間もまた早いので朝晩の気温差も穏やか。

湿気もなくテラスで朝から晩までぼーっとしていたいほど、とても過ごしやすい気候なのです。

グニラさんが子どもの頃の冬の話を教えてくれました。

「冬の間は学校に行く時間も帰る時間も真っ暗なのよね。だから、朝ごはんの後にはビタミンDを飲むのが日課だったし、授業の間の10分間の休憩時間には、少しでも太陽の光に当たるために、みんな外に出て日光浴をしなければならなかったのよ。」

日照時間の極端に少ない暗い冬の季節に耐え、5月まで続く長く厳しい寒さを乗り越えてやっと来る明るい夏。

北欧の人々にとって太陽の下で過ごせる夏の時間は、本当にとても貴重なのだと感じます。

ミッドサマーのテーブルセッティング

この日のグニラさんのダイニングテーブルの上は、スウェーデンカラーの青と黄色が鮮やか。淡いグリーンも散りばめられて、初夏らしいとても爽やかなセッティングです。外はムシムシしているので、室内に招かれて涼やかなしつらえに、まずは目が喜んでしまいます。

テーブルの主役は卓上サイズのミッドサマーポール。

その奥にはスウェーデンの民族衣装を着て踊る人々のペーパーデコレーション。

実際のミッドサマーのお祭りもこんなふうにポールを囲んで、みんなでフォークダンスを踊るのだそうです。

ミッドサマーを喜ぶ楽しいお祭りの雰囲気にワクワクします。

庭の小さな花々と一緒に花瓶に飾られているのはディルの花。

繊細だけれど大きな丸いシルエットがパッと目を引きます。

ディルはスウェーデンの食卓には欠かせない風味付けの薬草ですが、花の部分をこんな風に飾りにも活用できてしまうなんて、グニラさんのアイディアは自由で素敵です。

自宅で楽しむミッドサマーのデザート作り

さて、今回の楽しみなFIKAのおともはロールケーキだそう!

「スウェーデンではこの時期がイチゴの美味しい季節なのよ。だから今日もロールケーキにイチゴを使おうと思ってスーパーマーケットを2軒も回ったんだけど、見つけられなかったの。日本のイチゴのシーズンはやっぱりもう過ぎちゃってるからよね。」

と、グニラさんはケーキの生地を天板に流し込みながら教えてくれました。

ミッドサマーのデザートには、スウェーデンではこの時期が旬のイチゴ、と決まっているのだそう。

「それでね、どうしようかなと思ったけれど、代わりにこんなのもアリかな?と思って、これを買って来てみたの。」

と楽しそうに笑いながらグニラさんが見せたくれたのは、イチゴ味のコアラのマーチ!

「ピンク色で可愛いでしょう?ケーキの上に載せたらいいわよね?」とニッコリ。

あれがない、よりもこれを代わりにしたらいいじゃない、と自然に考えられるグニラさんの発想に胸がキュンとします。

四角く構え過ぎずに自分なりにラクに暮らしを楽しむ、ってこういうところ。

焼きあがった生地に手作りのイチゴジャムをたっぷり塗って、グニラさんは手際よくくるくると巻いていきます。

巻き終わった表面には、いつの間にか仕込まれていたココナッツフレークがまぶされていて思わず、わあっと小さな歓声が出てしまいます。

「ココナッツはね、別になくてもいいのだけど、このほうがお洒落になったわよね。」

いくつになっても、こんなまっ直ぐな気持ちでおもてなしがしたい。

相手と自分がいっしょに楽しく過ごす時間のために。

グニラさんのロールケーキからは教わることばかりです。

ケーキのロールは厚めにカットして、上にはたっぷりの生クリーム。

サービス精神旺盛なグニラさんは、いつも嬉しそうにたっぷりと生クリームを絞ってくれます。

それだけで、自分で絞るより何倍も美味しそうに見えてしまうのはなぜでしょう。

仕上げにクリームの上にイチゴ味のほんのりピンク色のコアラのマーチを載せて、完成です!

FIKAでミッドサマーを楽しむ!

さあ、主役のロールケーキをいただきます。

焼きたてのふわふわな生地がとっても優しい美味しさです。

テーブルの上にはよく冷えたヨーグルトケーキ(夏の間はよく作るそう)や、キャラメルクッキーまで並んでいます。

取り皿までミッドサマーなFIKAが始まりました!

このお皿のセットは、おばあさんからグニラさんが受け継いだもの。

取り分ける前のロールケーキが盛られていた大皿にはスウェーデンと書いてあり、代表的な青と黄色のスウェーデンの民族衣装を着て踊る親子が描かれています。

取り皿のほうにも町や村の名前が書いてあり、それぞれの地方独自の民族衣装を身に付けた人々が描かれています。

民族衣装と一口に言っても、スウェーデンでは町や村によって色や柄にさまざまな違いがあるのだと知りました。

描かれた人々はダンスをしていたり野菜を採った帰り道のようだったり、スウェーデンの夏のワンシーンが切り取られているのだと感じます。

愛らしい草花模様で縁取られているのも、お花のベストシーズンであるミッドサマーにピッタリです。

可愛らしいスウェーデンの手作り民族衣装

ロールケーキを頬ばりつつ取り皿の絵柄を見比べながら、グニラさんの育った町の民族衣装はどのようなものだったのかを尋ねてみると、なんと一着お持ちということで、見せていただけることになりました。

針仕事ではセミプロの腕前を持つ叔母さまが作った、それを譲り受けたものだそう。

スカートとブラウス、それにエプロンとベスト、付け襟に帽子まであります。

この民族衣装はグニラさんの育った町のお隣のご両親が生まれた町のデザインで、やわらかな白、赤、ピンク色のカラーコーディネートになっています。

グニラさんがこの衣装を身につけ、娘さんの結婚式に参列した際の写真も見せていただきました。

正装としても使える民族衣装というところでは、日本の着物と同じようなものなのかもしれませんね。

それぞれのアイテムがとっても可愛らしいスウェーデンの民族衣装。

帽子、被らせてもらっちゃいました。

森で木の実や花を摘んだり、外で踊ったりしても、洗える丈夫な木綿の素材であったり、自然の景色に馴染む素朴な色合いというところも、スウェーデンらしい気がします。

赤ちゃんからお年寄りまで似合いそうなレース付きのデザインにほっこりしちゃいます。

我が家のミッドサマーポールの思い出

ミッドサマーのお祝いに欠かせないミッドサマーポール。

メイポールやスウェーデン語でマイストング、ミッドソンマルストングとも呼ばれています。

町の集会所の周りや公園にミッドサマーポールを立てて、人々はその周りを囲んでフォークダンスを踊り、ミッドサマーをお祝いします。

お祭りが終わると、ポールから飾りの草花を取り、横に倒した状態のまま保管します。そしてまた次の夏に、再び白樺の葉と季節の野花でポールをデコレーションして使うのです。

そんなミッドサマーポールを手作りしてお庭に立てるご家庭も多いようです。

グニラさんのお姉さんのご家族が作ったのは、大人の背丈ほどの高さのもので、子どもたちで飾りつけをしていたそうですが、そういうシーンは故郷の良い思い出のひとつになるのだろうなあと感じました。

大きいポールを立たせる時は、写真のように大勢の大人の男性が少しずつ立たせていきます。

「最初は子どもたちも一緒にみんなで手伝った後に、大人の男の人たちが頑張ってウーンウーンと引っ張るのだけど、何10メートルもあるような大きなポールだと、ちゃんと最後まで立たせられるかどうか、ドキドキして見ているのが楽しかったのよ。」

そう教えてくれるグニラさんの顔からは、楽しかった思い出が伝わってきます。

ミッドサマーの夜のロマンチックな言い伝え

スウェーデンのミッドサマーには、こんなロマンチックな言い伝えも。

野外でダンスを踊るミッドサマーの夜、家に帰る前に野の花を7種類摘んで、それを枕の下に敷いて寝ると、将来の結婚相手を夢に見る、というものです。

必要な花の種類は7種類のところも9種類のところもあるようで、地域によって伝わり方は違うようです。(ノルマは少ない方が達成が楽ですね)

グニラさんはどんな夢を見たのでしょうか?

「私の夢は真っ黒だったのよ。おかしな夢、と思っていたけれど、あれは日本人の夫の頭の後ろ姿だったのね。出会った頃は髪も黒くて量も多かったから。やっぱり当たるのね!」とグニラさん。

お茶目なグニラさんトークには大盛り上がりしてしまいました。

ミッドサマーお天気アルアル

ミッドサマーではあまり晴れることがない、と言われるほど、お祭りの日のお天気はいまいちなことが多いそうです。

「いい天気だと、あれ?今年はいい天気なの?!と驚くくらいよ。」とグニラさん。

日本の夏至の頃では、雨が降ると余計に蒸し暑くなってしまいますが、湿気のないスウェーデンでは、太陽が隠れてしまうと結構寒いのだそうです。

晴れていて気持ちよく過ごせる時期なのに、お天気は気まぐれですね。

娘さんが小さい頃にミッドサマーに参加した時には、可愛いワンピースだけではとても寒くて、ズボンやカーディガンも一緒に着せたくらいよ、という思い出話も。

それでも無理矢理にでも必ず屋外で食事をして、ダンスをしてお祝いするのだそうです。

ミッドサマーのディナーメニュー

今年の夏至の日は外のテラスで食べたのよ、と言ってグニラさんがスマートフォンに残したミッドサマーディナーの写真を見せてくれました。

「ミッドサマーの食事は新じゃがいもがメインかもしれないわね。ディルと一緒に茹でたのよ。」

ヨーロッパ圏では主食のじゃがいも。

日本人が毎年、美味しい新米を楽しみにしているのと同じように、旬の新じゃがいもを食べられることはミッドサマーの楽しみのひとつなのですね。

じゃがいもの他には、IKEAで調達したサーモンとニシン、それからローストビーフにサラダ。

この日はスーパーでイチゴも手に入ったので、デザートには念願のイチゴも食べたそうです。

すべてが手作りではなくても、買ってきたものも、少しの手間をかけて器に盛ってテーブルセッティングをする。

「そうするだけでも気分が違うでしょう?」とグニラさん。

器にもこだわりのあるグニラさんだからこそかもしれませんが、日々の暮らしの中での力の抜きどころ、力の入れどころ、勉強になることばかりです。

日本の夏を自分らしく楽しむ

夏の夜のお祭りで民族衣装を着て、皆で踊る。

スウェーデンのミッドサマーのお話はすべてが新鮮だったのに、浴衣を着て盆踊りをした夏祭りの楽しかった記憶がよみがり、懐かしい気持ちも込み上げてきました。

「I believe in Summer!」

ミッドサマーを歌う曲の歌詞を解説してくれたグニラさんが言っていました。

梅雨、湿気、酷暑と、日本の夏は大変なところもあるけれど、夏を信じるマインドがあれば、工夫しながらこの季節をもっと楽しめるような気がします。

ミッドサマーを彩るイチゴのロールケーキの作り方

グニラさんから教えてもらった今回のFIKAのおとも「イチゴのロールケーキ」のレシピをご紹介。
(今回はイチゴの代わりにイチゴ味のお菓子を添えて)

材料
卵 3個
小麦粉 200cc
重曹 小さじ1
砂糖 150cc
イチゴジャムまたはコンフィチュール お好きなだけ
生クリーム お好きなだけ(多めが美味しい!)
イチゴもしくは代用のお菓子 上に載せる分
ココナッツフレーク お好みで
作り方
① 卵と砂糖をボウルに入れ、ふわふわになるまでよく混ぜる
② 小麦粉と重曹を混ぜて、①に加え混ぜ合わせる
③ 250°に予熱したオーブンで5分焼く
④ お好みで生地の表面にくる側にココナッツフレークをまぶす
⑤ 生地が温かいうちに、内側にくる側にイチゴジャムなどを塗る
⑥ 巻き上げたら、巻き終わりを下にして少し冷ます
⑦ 5cmくらいの厚めにカットし、生クリームを絞る
⑧ 生クリームの上にイチゴやイチゴ味のお菓子を載せて完成!

ししゅうつなぎの生まれる場所へ(3)

(2)のつづき

ししゅうつなぎができるまで

1955年創業 村田刺繍所三代目の村田欽也さん

村田社長に「ししゅうつなぎ」が生まれた背景についてお話をうかがいました。

「一針千心」のものづくり

弊社は家族主体の企業ですので、生まれた時から刺繍業に携わっている人も多く、パートの従業員さんも親戚関係。気持ちも環境も刺繍に向いている人だけで仕事をしています。

企業理念である「一針千心」は、一針ひと針に真心を込めて、買っていただいたお客様に喜んでいただきたい、そういう顔を見たい、という思いから、品質にこだわったものづくりをしていく志を表しています。

創業当時は横振りミシンを使って着物や和装関係の服資材に、終戦後にはアメリカ兵に日本の土産品として人気のあったスカジャンに刺繍を行っておりました。
機械が発展し始めた頃からは、多頭式コンピューターミシンを導入して刺繍加工をしてまいりました。
刺繍のアクセサリーを作り始めたのは、2000年代の初頭に流行った刺繍のブレスレットの影響を受けたレース屋さんから依頼があったのがきっかけでした。

でも作るうちに、せっかくこれだけ自分たちに技術があるのだから、委託だけでなく自分たちのブランドとして世に出していきたいという思いがやはり湧いてまいりまして、そうして自社ブランドの刺繍ネックレスを制作するようになりました。

小枝をモチーフにしたアクセサリー

ししゅうつなぎは、2019年の9月頃から企画がスタートして、半年ほどの制作期間で完成しました。
その間、デザイナーの秋山かおりさんとのやり取りはもう何度あったのか、わからないほどです。

秋山さんが子供の頃に道ばたで拾った小枝をネックレスにしたことを思い出して最初に完成したのが、ブラウンが主体の「小枝」です。
そのあとに「小花」と「小雪」。
そのほかに金、銀、銅の3種類は、アクセサリーらしい光沢のあるものも作りたくて作りました。

作業工程は、デザインをコンピューターミシンに読み込み、オリジナルの溶ける紙に刺繍をしたら、洗いにかけ土台の紙を全部溶かし刺繍だけを残します。
その後、刺繍を成形しながら乾かします。
最後にパーツひとつひとつを検品してから、手作業で繋げていきます。

機械というと、機械が全てやってくれると思ってしまうかもしれませんが、多数ある工程の中でも人が介入する場面は多く、またそうでないといいものは作れないと考えています。

繋ぎ目は、ししゅうつなぎの命となるところ。
ひとつひとつのパーツをお客様自身で自由に組み合わせができる構造、ということは、誰でも取り外しやすく、しかも外れにくい、を両立させるということで、そこが制作過程において一番難しかった部分ですね。

自由に楽しく、使っていただく

本当に面白い形なんですよね。
ひとつのパーツに丸い穴が3つ空いているんですけれど、決まった一か所だけに通すわけじゃないから、繋ぎ方しだいでその人だけの形を作ることができる。
ししゅうつなぎのメリットは、金属アレルギーの方でも気兼ねなく身に付けていただけるところ。
それから「重たいネックレスをすると肩こりしてしまうけれど、これはものすごく軽いんです。」というお声もよく頂戴します。
しかも、汚れても洗うことができるんです。

お客様から私たちが予想していなかったような「こういう使い方をしたら面白かったよ。」なんていうお声が聞けたら、余計に楽しく嬉しいですね。

村田刺繍所

渡良瀬川が流れ赤城山を望む群馬県桐生市にある、1955年創業の老舗刺繍所。
技術力の必要なレース調の刺繍などを得意とする。
高品質で繊細な刺繍加工は婦人服、紳士服、子供服、及びワッペンやユニフォーム、日用品、小物、雑貨など多岐にわたる。
https://embland.com

中通り大橋

村田刺繍所のすぐ近くを流れる渡良瀬川。
山の稜線、広く澄んだ空。
ししゅうつなぎの生まれる土地の空気を身体で感じて、帰路につく前の深呼吸。
村田刺繍所さん、貴重なお話をありがとうございました。

記事で紹介した商品『ししゅうつなぎ』は下記の店舗で取り扱っています。

ししゅうつなぎの生まれる場所へ(2)

(1)のつづき

村田刺繍所で刺繍のものづくりを見学しました

ししゅうつなぎは桐生市内にある村田刺繍所の刺繍工場で作られています。
可愛らしいクローバーのイラスト入りの看板が村田刺繍所の目印。
今回は特別に工場内を案内していただきました。

工場に入るとまずすぐに目に入るのが、壁一面に並んだ刺繍糸の箱。
300種類以上の刺繍糸が床から天井まで積み上がっています。

桐生刺繍といえば『横振りミシン』

桐生刺繍の代名詞でもある横振りミシンは、使いこなせるようになるまでに10年は確実にかかると言われるほど、高い技術が求められます。
ですが、すでに生産は終了してしまい「現在残る横振りミシン職人は10人もいないのではないか。」とのことです。

村田刺繍所でも創業当時はこの横振りミシンを着物の刺繍に、また戦後にはスカジャンの刺繍などにも使用していました。
工場の中で大切に受け継がれ、もちろん、いまも使用することができます。

巨大な多頭式ミシンに圧倒される

工場の中心で存在感のある、写真に収まりきらないほど長く大きい機械。
多頭式コンピューターミシンです。

こんなに巨大なミシンを見るのは初めて!
多頭式コンピューターミシンは複数のミシンヘッドをコンピューター制御しているので、同じ柄を一度に効率よく、多く生産することが可能です。
機械の均一で正確な作業による仕上がりは高品質で、立体的な帽子やカバンにもスムーズに刺繍を施せます。

その動き方は自由自在。
同時進行でスパンコールを縫い付けることもできるのだそう。
家庭用ミシンとは全くの別物です。


引用:桐生商工会議所 YouTubeより

どのように縫い、どう表現するのかというデザインを起こすのに必要な知識や技術に加え、豊富な経験値も求められる刺繍加工。
美しい刺繍作品を生むための道具として高機能なミシンを扱うことで、複雑かつ繊細な作品が完成されているのだと知りました。

(3)へつづく…

記事で紹介した商品『ししゅうつなぎ』は下記の店舗で取り扱っています。

ししゅうつなぎの生まれる場所へ(1)

桐生のこぎり屋根

刺繍の歴史が刻まれる桐生へ

桐生市は群馬県の東側、栃木県との県境に位置しています。
この日は天気の話が盛り上がるほどうれしい快晴。
気持ちよく澄んだ空のなかに見える赤城山にどんどん近づいていきます。

高速を降りて桐生市に入るとさっそく繊維業の会社の看板がちらほら。
さすが「繊維のまち」ですね。
当店のある千葉県印西市からは車で2時間30分ほどで到着です。
街のなかを進み、まずは桐生市の織物の歴史を知るところから。
最初の目的地、桐生織物記念館におじゃまします。

桐生の織物の歴史を学ぶ

1934年に建てられた桐生織物記念館は、青緑の瓦ぶき屋根の大きく立派な建物で、2階には小ぶりのステンドグラスもあり、まるで異国の洋館のよう。
国の登録有形文化財にも指定されています。

桐生織物記念館

入り口を入ってすぐのところには、見上げて首が痛くなるほど巨大なジャカード織機(しょっき)が設置されています。

ジャカード織機

2階へ昇る広い階段の低めに作られた手すりに、見た目は洋館のようでも日本の建築なのだと実感します。
2階の目の前には組合事務所。今も昔も桐生の繊維業の拠点なのですね。

右に進むと常設の織物展示室があります。
書棚には、昭和30年頃から保存されたテキスタイルをまとめた資料がびっしり。
貴重な資料ですが、なんと素手で直接触って全てが見られます。
当時の実物のテキスタイルがページごとに貼られており、質感まで体感できます。
ページをめくれば「これも素敵、こっちも素敵!」ちゃんと見始めてしまったら一日あっても足りないかも。

織物の展示だけでなく、蚕からどのように糸を紡ぐのかなどを詳しく知ることもできます。

昔ながらの機織りを体験

せっかくなので、機織り体験もさせていただきました。
専門用語の説明を受け、手取り足取り丁寧に織り方を教えてくださいます。
織る時のガシャンガシャンという音は、耳に心地良いですね。

体験用の織り機の隣に数台、かつて桐生で使われていた織り機が並んでいます。
織り機が新しくなるにつれて、素人でもわかるくらいパーツが少なくなり、自動の部分が増えていく過程を見ることができます。

桐生の歴史ある織物文化を象徴するモダンな建物のなかで、デジタルのない時代とは思えない絵画のように美しいジャカード織の多様な作品などを目にすることができました。

桐生織物記念館

所在地:群馬県桐生市永楽町6-6
開館時間:午前10時から午後5時まで
休館日:土日祝日、8月13日~16日、12月29日~1月3日、その他臨時休館あり
https://kiryuorimonokinenkan.com

桐生はのこぎり屋根の街

桐生織物記念館を後にして、桐生の街を散策。
桐生の住宅街の中はどこも細い道で、どこか懐かしい低めの建物が並びます。

街の中を散策すると、のこぎりの刃のような尖った三角屋根がぎざぎざと連なる形状の屋根を持つ建物にちょくちょく出会います。
桐生名物ののこぎり屋根の風景です。
かつては工場だった建物が、のこぎり屋根を残したまま、現在はワインセラーやベーカリーカフェになっていたりもします。

「赤城山の向こう側は雪が降るけれど、この辺は雪よりからっ風」

桐生の街並みに欠かせないのこぎり屋根は、雪の積もらない地域だからこその形でもありました。

旧曽我織物工場
桐生絹織株式会社

旧金谷レース工業株式会社鋸屋根工場(ベーカリーカフェ・レンガ)

桐生市内を走る低速電動コミュニティバス「MAYU」のバス停のサインものこぎり屋根!

続いて、伝統の刺繍技術を見学をしに村田刺繍所さんへ

(2)へつづく…

記事で紹介した商品『ししゅうつなぎ』は下記の店舗で取り扱っています。

グニラさんとのFIKAの時間「スウェーデンのイースターを祝う」

FIKA(フィーカ)とは、日本でいう10時や3時の「おやつの時間」のような、スウェーデンの伝統的な習慣です。
仕事中のコーヒーブレイクとして同僚とおしゃべりしたり、休みの日に外でちょっとお茶しよう、なんていうのもスウェーデンのFIKA文化なのだそうです。
グニラさんとのFIKAのおともは、手作りの美味しいお菓子。
コーヒーのおかわりもすすみ、時間が穏やかに流れます。
グニラさんのご自宅は愛着のある北欧のものたちに囲まれて、あれにもこれにも胸がときめいてしまう。その中にはお子様がまだ小さい頃に一緒に作った飾りものや、壁に掛かったたくさんの家族写真(ご主人はフォトグラファーなのです)も混じり、肩肘張らないナチュラルな心地よさが満ちています。
日々の暮らしの楽しさを感じられる素敵なおうちの空間でゆったりと過ごすFIKAの時間。
グニラさんに教わる、北欧のこと、暮らしのこと、ものやインテリアの色々なこと。
自分らしい暮らしのためのヒントや学びを、ゆるり綴っていこうと思います。

*FIKAは日本語では”フィーカ”と表されることが多いですが、スウェーデン語の発音は”フィーキャ”の響きに近いです

セムラを食べながらイースターについて教わりました

遅く咲いた梅も、もう満開。
3月になったばかりの暖かい日に、グニラさんのお宅へおじゃましました。

今日のFIKAのおともはスウェーデンの伝統菓子『セムラ』です。
ダイニングに続く隣りのキッチンでは、グニラさんが手際よくセムラを作っていました。

丸いパンの上の部分を薄く切り取ると、
「ここにアーモンドペーストを入れますね。」と、
茶色いバターのかたまりのようなものを小さく切ってパンの真ん中に差しこんでいきます。

「これはね、卵白とお砂糖とアーモンドだけでできているのだけど、日本ではほとんど売っているのを見ないわね。」
確かに日本ではあまり馴染みは少ないと思います、初めて見ました、と答えると
「そう?それじゃあ良かったら食べてみて。」
と、味見用に切り分けてくれるグニラさん。
思ったよりも甘さ控えめでなめらかな舌触り。アーモンドの風味がとても豊かです。
「甘くないでしょう?だから生クリームはたっぷりの方が美味しいのよ!」

「もうちょっと?もうちょっと欲しいでしょう?」と張り切ってたっぷりと生クリームを絞ってくれるグニラさんに

「わあ、もういいです~!」なんて、幸せなやり取り。

最後にさっき切り取った蓋の部分を帽子のようにちょこんと載せて。
仕上げに粉砂糖を振って完成です!

セムラとともに席につくと、ちょうど視線の先に、枝に刺さったビビッドなイエローとパープルの羽根飾り。
「いま出しているイースターの飾りはまだこれだけなのよ。」
そういえば、セムラもイースターの時期に食べるもの、ということで
私たちはちょうどイースターの直前にお邪魔したようです。

コーヒーを淹れていただき、FIKAの時間の始まり。
今日のFIKAのおとも、セムラをさっそくいただきます。

セムラは見た目は完全におやつだけれど、パンも生クリームも甘さはかなり控えめ。
朝起きたてでもペロッといただけそうなほどに優しい。
パンはやわらかいのだけれど、ふわふわという感じではなく密度のしっかりした生地です。
スウェーデンでは温めたミルクに浸してシナモンを振って食べる人も多いとのことで、浸した時にやわやわになりすぎないパンの固さがちょうどいいのかもしれません。
食べごたえもおいしさも100点満点!

飾り付けを楽しむのがスウェーデンのイースター

セムラを食べ終わると、イースターに向けこれから飾り付ける予定の小物たちを広げて、スウェーデンのイースターについて説明してくれました。

そもそもイースターについてあまりよくわかっていない私たちのために、グニラさんが「スウェーデンの祝祭日と伝統行事」について書かれた日本語のパンフレットを持ってきて、楽しく説明を続けます。

「イースター」とはキリストの復活祭のこと。
処刑されたキリストが予言通り復活したことを祝う、キリスト教圏での行事です。
ヨーロッパの多くの国では、イースター当日は祝日。
日付は「春分の日以降の最初の満月の次に迎えた日曜日」とされているため、毎年異なります。
昔はイースターまでの40日間は断食をした時代があり、断食の前にはご馳走を食べるという風習があったそうです。
その時のご馳走の中に、セムラが登場します。セムラを大きく作るのは、しばらく食べられないから!だったのかもしれません。

そしてイースターといえば、卵やウサギやニワトリのイメージがあります。
諸説あるようですが、生命誕生の象徴といわれる動物がモチーフになっているようですね。

日本で買ったものもありますが、ほとんどがスウェーデンから持ってきて大切にとっておいたもの。
どれもこれも本当に可愛らしいです。

飾り付けは家族から受け継いだ大切なものを

スウェーデンの家族から受け継いできたというテーブルランナーを見せてくれます。
「この花はね、スウェーデンではポスクリリアと呼ばれています」
ポスクリリアは日本語に直訳すると、「復活祭の百合」。
日本でも春先に咲くこの水仙の花は、スウェーデンではイースターに欠かせない、象徴の花です。

日本人の私は春の花といえば、満開の桜の優しいピンク色を思い浮かべます。
スウェーデンの人々は、黄色の水仙が咲き乱れる野の景色を想像するのでしょうか。

 

「これはちょっと穴が空いちゃっているんだけど、そーっと使っているのよ。もう100年以上も前のものなの」

もう一枚は薄く繊細な布地に、ステッチが細やかな刺繍がとっても素敵。
大切にずっと引き継がれ使われているこのテーブルセンターには、スウェーデン語でハッピーイースターと書いてあります。

 

グニラさんのイースターコレクションは、ほとんどが卵とニワトリ。
ウサギもまたイースターの象徴として有名ですが、スウェーデンでは卵とニワトリのモチーフばかりだったとのこと。
余談ですが、アメリカやドイツのイースターではウサギのモチーフをよく見かけるように思います。
調べたところ、イースターバニーが現れたのはドイツが起源と考えられているとの資料を発見。
国や地域や宗派によって、イースターの雰囲気は少し異なりそうですね。

小さな魔女に出会えるスウェーデンのイースター

スウェーデンのイースターのお話の中でとくに面白かったのは、魔女の話。

キリストが生き返るイースター前日の土曜日には特に魔法が強くなり、ほうきで飛んでくるとされていました。イースターの期間には魔法の威力が増した魔女たちが世を徘徊し、魔法をかけると信じられてきたのだそう。

この怖い魔女のエピソードは、子どもにとってはイースターの楽しいイベントの一つになっているそうで、
「子どもたちはほうきを持ってね、魔女に仮装して近所の家のチャイムを押してお菓子をもらうの。ちょうどハロウィンのトリックオアトリートみたいにね。それと、魔女は火を怖がるからということで近所のあちらこちらで焚き火をしているのだけど、まだ春先でちょっと寒いから、あったかくて子どもはすごく楽しいのよ。」
思い出話をするように教えてくれるグニラさんの表情は、いたずらっ子のようで、とても楽しそう。

そうして土曜日が終わり、イースター当日の日曜日の朝になります。
「日曜日はお祝いで卵をたくさん食べるの。うちはニワトリを飼っていたから卵がいっぱいあってね。兄弟たちはすごい量を食べていたけれど、私は5つしか食べられなかった」
卵をほお張る子どものグニラさんを想像すると、おもわず笑みがこぼれてしまいました。

いままであまり知る機会のなかったイースターのこと。
グニラさんの美味しいセムラとともにイースターカラーに満ちたFIKAを過ごさせていただき、スウェーデンの家庭でのイースターの様子を少しだけ思い浮かべることができたような気がします。
宗教的行事ですが、構えすぎずに、春を楽しむという観点で、日本の暮らしの中にも取り入れることができそうですね。

スウェーデンの伝統菓子セムラの作り方

グニラさんから教えてもらった今回のFIKAのおとも「セムラ」のレシピをご紹介。

材料
マーガリンもしくはバター 75g
牛乳 300cc
小麦粉 900cc
重曹 ティースプーン2分の1
砂糖 100cc
ドライイースト 12g
卵 1個
卵 1個(パンに塗る分)
生クリーム お好きなだけ(多めが美味しい!)
作り方
① バターを溶かし牛乳を加える
② 小麦粉、重曹、砂糖、ドライイーストをボウルで混ぜる
③ ①を②のボウルに加える
④ 卵を入れて、こねる
⑤ 30分休ませる
⑥ 30等分に丸く成形して、再度30分休ませる
⑦ 塗る用の卵を泡立てて、生地に塗る
⑧ 250°で5~8分焼く
⑨ 焼き上がったセムラの上部をそれぞれ薄く切り取る
⑩ セムラの中にアーモンドペーストを埋めこむように入れて、生クリームをたっぷり搾り、⑨で切り取った部分をその上に載せて完成!
⑪ お好みで粉砂糖を振りかける

火にかけてから 30 分でおいしいご飯 土鍋ごはんがうまい「伊賀焼 かまどさん」

長谷園 土鍋 炊飯 ごはん お米 ご飯 伊賀焼

「いかに飯をうまく食い、いかに酒をうまく呑むか」

そこに美味しいお米は欠かせない小さな島国とは思えないほど日本にはさまざまなカテゴリーの美味しいものが溢れていますが、食卓には今も変わらず、主食としてお米が出てきます。ずっと食べてきたからなのか、体が必要としているからなのか。毎日食べても飽きないのはなぜでしょうか。「今日、何食べようかな」疲れと時間に追われて準備が面倒な時も、栄養や健康よりも趣向や惰性に振り回される時でも、あれ食べたいこれ食べたいを考える時間は、なんとも幸せなひとときです。想像しただけで料理が出てきたらいいのにと思いながら渋々台所に向かう日も、手間のかかるものをゆっくり作りたい日も、変わりばんこに入れ替わるその日の気分に合わせて料理を進めていきます。暮らしの流れに組み込まれている「食べる」は生きるため。栄養を業務的に口に入れるだけでも成り立つのでしょう。それでも同じ「食べる」なら、身体も心も元気にしてくれる食材で、味や見た目はおいしく、食事の時間を楽しみたい。長谷園のものづくりのもとになっている「いかに飯をうまく食い、いかに酒をうまく呑むか」は死ぬまでそう思っていたいと思います。旅館のような美味しいごはんを家でも炊けると知ってから土鍋を使うようになりましたが、お腹が空いている時に炊飯器の長い炊き上がりを待ちたくないと思っていた自分にはぴったり。炊飯器の設置場所や、ついつい保温しっぱなしの電気代のことを考えても、炊飯器なしの生活が合っているようです。そしてこれだけ家電が進化しても、今でも炊飯器は「かまどや土鍋のような」炊き上がりを目指し、「おひつに入れたような」保温を目指しているといったキャッチコピーを電気屋さんで目にすると、「土鍋を使ってお米を炊く」ことは、「毎日美味しいご飯を食べたい」と思っている自分の正解にも辿りついているのだと思っています。

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かまどさんなら、ふっくらもちもち
日本のお米がもっとおいしい

見た目からもなんだか美味しく炊けそうなかまどさん。かまどさんで炊くと、日本のお米の良さが引き出されていると感じます。かまどさんの材料である伊賀の粗土はおひつのように呼吸するのでベタつかず、ちょうど良い水分量を保ったもちもちとした食感のご飯ができます。炊き上がりに蓋を開けると、つやつやでふかふかで。「ああ今回も美味しそう」って、単純に心が躍るというか、美味しそうなご飯を嬉しいと思える事に感謝したくなるというか、ご飯を楽しめている事に、自分のささやかな暮らしが満たされるような気持ちになります。お茶碗一杯のご飯が美味しいと、主菜も副菜も進み、日々の食事を充実させたくなり、身体をつくってくれる食事に興味を持って料理できる日が増えるように思います。自分自身で自分を豊かにしている体感に嬉しさを感じています。

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伊賀の土が
土鍋に良い理由

炊飯用の鍋を調べると土鍋に辿り着き、そして伊賀土の土鍋に辿り着きます。理由は伊賀の土にあります。昔、琵琶湖の底に沈んでいた伊賀市の土には、何百年も前に生息していた植物などが有機物として配合されています。この有機物は土鍋をつくる過程で、高温の焼き上げの中で発泡し、陶土の中は気泡だらけに。その気泡のおかげで、一度火の熱を蓄熱してから伝えるような構造を作り出し、一気に火を通すことで料理が美味しくなるのです。火からおろしても冷めにくく、弱火でコトコト煮込んでいるように、じっくりしっかり熱を伝えることもできます。強い火力で、一気に蓄えた熱でお米を炊き上げて、そのままじんわりあったかく蒸らすことができる。どんな鍋でもある程度美味しくお米を炊くことはできますが、この特徴を持っていて、土鍋にできるほどの耐火度を持っている日本の陶土は、伊賀の土だけなんだそう。つまり伊賀の土を使ってつくられた鍋にしか、お米をここまで美味しく炊くことができないのだと思います。鍋底に火がよく当たるようにカンナで削ったり、持ち手をつけたり、釉薬をつけるなどの工程は人の手でひとつひとつ丁寧に行われています。釉薬には遠赤外線効果の高いものを使用することで、お米の芯まで火が通り、ふっくらとしたご飯の炊き上がりをサポートしています。

火にかけてから 30 分でおいしいご飯
かまどさん基本の炊き方

まずはボウルで優しくお米を研ぎ、4 ~ 5 回程度水が綺麗になるまで繰り返します。ザルにうつして 5 分、水をきります。そのあとお米に浸水させます。20 分ほどの浸水時間でしたら、かまどさんに入れて浸水させます。20 分以上の浸水は土鍋の特性上、割れやヒビが入りやすくなる原因になりますのでおすすめできませ ん。出かけている間に浸水させておきたいときなど 30 分以上浸けるときには、研いだボウルに戻して浸水して下さいね。お米をいれたらふたをセットします。ふたの付け方ですが、中ふたの穴の位置と、外ふたの穴の位置が直角になるようにすることで、お米にほどよい圧がかかるようにできています。何も考えずに忘れてセットした時も吹きこぼれることなく炊き上がりましたが、少しだけ時間がかかりました。直角にセット、ぜひ忘れずに。ふたがセットできたら火をつけていきます。色の違う底部分の半分くらいの高さに来るように中強火~強火 に設定します。3 合炊きは 13 分。消し忘れないようにタイマーをセットしておきますが、蓋の穴から煙がヒ ューっと出てくるのが 12 分頃。ぽっぽっと短い蒸気のあと、少しするとひゅ~っと勢いよく長めの蒸気が噴 き出してから 1 ~ 2 分後が火の消しどきです。3 合の規定の水量通りに入れればほぼ時間通りに炊き上がりますので、タイマー通りで問題ないと思いますが、蒸気の様子も見てみておくといいです。慣れてくると、だいたいお米よりも 1cm 位上にくるような水の入れ方をしたり、研いだ後に浸水した時間の長さやお米が吸った水の量でも炊き上がりの時間に多少のずれが出ることがあります。炊き込みご飯なども時間が変わってきますので、時間通りに炊けないかもしれないと思う時には、蒸気を頼りにタイミングをみることが大切です。炊き上がり火を切ったらそのまま 20 分蒸らします。つやつやでふかふかの炊き立てご飯の完成です!

ご飯もおかずも美味しく作れる
色々使える万能鍋です

玄米ご飯におかゆやリゾット、お米をさまざまな方法で調理することができるだけでなく、鍋物、煮物にも使うことができます。ぜひご飯を炊く以外にも、鍋としてお使いください。3 合の大きさがあると常備菜や煮物に使いやすく、鍋なら 2 人前にちょうど良いサイズ感です。かまどさんならではの蓄熱効果で予熱調理がで
きますよ。かまどさんの土鍋の内側には広めのふちがあります。内ふたが乗る場所なのですが、煮物や汁物をよそうときに水気を切りやすく、とてもすくいやすいです。ちなみに炊飯以外で使用するときには、内ふたは使わなくて大丈夫です。

長谷園 土鍋 ロールキャベツ

長谷園 かまどさん おでん

炊飯器がなくても気楽に、簡単に。
かまどさんは「火加減いらず、吹きこぼれなし」

「火加減いらず、吹きこぼれなし」って本当に気楽です。慣れは必要ですが、炊き方にコツなし。簡単です。誰でも上手に炊けると言うのは大袈裟ではないのです。これまでは火加減の調整を 1 回もしくは 2 回ほ ど。吹きこぼれそうな予感はするけれども、ちょっと覗くと水分の多さを見ればまだまだの様子。吹きこぼ れる手前に弱火にしようと見張るのに一瞬の隙に吹きこぼれ、ガスコンロと五徳を拭くことになるのです。 長年鍋でお米を炊いてきたので、これはもうつきもの、仕方のないことだと慣れっこでした。かまどさんは 火加減は強火だけ、強火だけなので炊き上がりまであっという間。なのに吹きこぼれないって凄いの一言。 炊飯専用に開発された土鍋ってこういうことなのかと納得です。火加減の調整と吹きこぼれから解放されて はじめて、あれはプチストレスだったと今になり思っています。

なぜ「火加減なし、ふきこぼれなし」なのか

かまどさんの大きな特徴である二重のふた。丸みのある外ふたと、土鍋に密着する内ふたです。炊飯用の土 鍋はいくつもありますが、ふたが 2 つある土鍋は珍しいと思います。二重になっていることで圧力鍋の役割を 果たし、吹きこぼれを防いでくれる仕組みになっています。

底の直火が当たる土色の部分はとても分厚いつくりになっています。蓄熱と耐熱力のある伊賀の土だからできることですが、強火のまま火を当て続けることで、短い時間に熱をしっかり蓄えて、弱火でも中火でもない強火の火力を一気にお米に伝えてくれます。こちらが火加減を調整しなくとも、おいしいご飯が炊き上がるというわけです。

3合炊きは3合炊き
大きさや重さに思うこと

かまどさんは横より縦に少し背の高い、円形に近い形をしています。そういう形なので 3 合炊きでも 5 合分入 ります。入るなら炊けるのではないか、と試しに 5 合炊いてみました。結論、吹きこぼれも火加減の調節もな く、同じように美味しく炊けます。ただやはり容量オーバーなので炊き上がるのに時間がかかり、その分火 の当たる時間が長くなるからなのか、何度か試しましたが焦付きができてしまいました。焦げついてしまう と重曹を入れ沸騰させての落とさなければなりません。綺麗に落ちるまで 3 回もかかったあげく、重曹で綺 麗にしたあとはもう一度目止めをする必要もあり、なかなか大変でした。2 合や 1 合でも試してみましたが、 当たり前なのですが 3 合よりもはやく炊き上がるので、蒸気を見てタイミングよく火を止めることで、焦げ 付かず美味しく炊くことができました。でも 3合炊きは 3合炊き。素直に 3合炊くのが確実だと思います。
かまどさん 3 合用の重さは 4kg ほど、普段、鋳物鍋を使っているので重さには慣れていると思っていますが、土鍋部分を洗う時、持ち上げる時にはやっぱり重いです。お米を入れるともっと重くなりますので、コ ンロにかまどさんを置いてから、お米を入れるようにしています。

長谷園 土鍋 炊飯 たけのこごはん炊き込みご飯 伊賀焼

ちょっとの手間もすぐに慣れます
お手入れの仕方

お手入れの内容に難しいことはありません。最初にお家で使う前にしてほしいことが 1 つ、日々炊く前に確認 してほしいことが 1 つ、使った後にしてほしいことが 1 つ、覚えてしまえば簡単です。何十年と使える道具で す。お手入れをして長く使っていきましょう。最初にお家でしてほしいこと。それは目止めです。目止めとは、お米のでんぷんで鍋底を割れにくくする土 鍋に必要なコーティングのような工程です。8 分目ほどに入れた水もしくはお湯に、だいたいお茶碗一杯分程 度のご飯を入れて、おかゆ状になるまで火をかけていきます。1 時間ほど放置したら、ご飯を取り出し、水で さっと流します。そのまま使うとひび割れしやすくなってしまうので、完全に乾かしてから使ってくださ い。これで準備OKです。次に、日々使う前に確認してほしいこと。ガスコンロに接する底部分は、必ず水滴を拭き取って使ってください。割れの原因になってしまいます。水滴を拭き取った状態であれば問題ありません。ただ先ほどお伝えした通り、乾燥していない状態で使うとひび割れの原因になるため、完全に乾いている状態が一番良いです。

エニシダブラシ ささら かまどさん 土鍋
ご飯を炊いた後は、お米のでんぷん質につけ置きしたくなるかもしれませんが、通常通りに炊けている場合、水につけ置いてふやかすことをしなくとも、 汚れが取れにくいと感じたことはありません。強い焦げ付きではない限り、するっと落ちてくれます。
カビ やすいだけでなく目詰まりもしやすいため、つけ置きには向いていません。すぐに洗うことをおすすめしています。強い焦げ付きの場合はどうするのかというと、7 分目ほどの水に重曹を大匙 1 ~ 2 杯いれて、沸騰させ焦げを浮かせます。しばらく経ったら、木べらで軽く焦げを擦ったり、洗うと焦げが落ちてくれます。落ちないようであれば何回か繰り返してください。ちゃんと綺麗に落ちますよ。重曹を使ったあとは必ず、初めに行った目止めの作業を行なってくださいね。

かまどさん お手入れ 使って洗った後は完全に乾かしてください 乾燥
最後に、使って洗った後は、完全に乾かしてください。中蓋の上に土鍋を重ねるようにすると風通しよく乾かすことができます。土鍋は一番乾かしたい底部分を上にしてください。カビやすいため箱や戸棚にはしまわずに、ラックに置くなどして、風通しの悪い場所への収納はお控えください。

割れたらおしまい?
パーツを買い足せばずっと使えます

長谷園のいいところは使い手目線であること。土鍋をパーツで購入できるって便利だと思いませんか。割れたから捨てる、使わなくなる、ではなく、取り替える必要のあるものは交換し、また手入れをしながら大事に使っていけるものを選択して大事にしていきたいと思っています。

記事で紹介した商品『永谷園かまどさん』は下記の店舗で取り扱っています。

かんたんミモザのリースづくり。そろそろミモザが咲き終わる4月です。

ミモザを手のひらサイズ15センチ程で枝をカット

立春を過ぎた頃から春の訪れを告げるように咲き始める黄色いポンポンがなんとも愛らしいミモザ。日差しが暖かくなるとともに無彩色の冬から色を取り戻すように黄色の面積を広げ、ふわふわのもりもりに。

全身で「春がやってきたよー!」とお知らせしてくれているようで私はこの花が大好きです。アトリエには立派なミモザが咲いているので、事務所のあちらこちらで眺めてはうっとり仕事の手がとまることもしばしば、、、。もっと長らく見ていたいけど、とうとう今年も見納めのようです。
来年も綺麗に花を咲かせてもらうため剪定が必須なのですが、せっかく残ってる花を余すことなく最後まで楽しむためにスタッフみんなでミモザのリースのワークショップを行ってみることに!

さて、張り切って準備といきたいところですが、みんなリース作り初心者なのでまずはランチをしながら動画で勉強会。パスパス切っては重ねていく出際の良いフローリストさんを見て「なんかわたしたちにもできる気がする!」と自信をもっていざチャレンジ!

手始めに必要なものを準備

・ミモザ(お好きなだけ)
・リースの土台(今回は直径20cmと25cmを使用)
・花ばさみ
・ワイヤー
・麻ひも(リースを飾るため)

モザを手のひらサイズ15センチ程で枝をカット
①手のひらサイズ15センチ程で枝をカット。
このとき、花とグリーンでだいたい分けておくとリースの全体のバランスが組みやすいです。

ワイヤー
②長いワイヤーは段ボールの切れ端などにぐるぐると巻きつけておきましょう。
(point) リースの中を通すので小ぶりの方が便利です。

ミモザをリースの土台に巻き付けていきます
③いざ!切り分けたミモザ2〜3束をバランスを見て葉と組み合わせながら②のワイヤーでぐるぐるとリースの土台に巻き付けていきます。これを時計回りに葉の向きを揃えながら繰り返し行います。
(point) ミモザは乾燥するとギュッと縮んでボリュームダウンするのでたっぷりと使って、完成の想像図よりモサモサにしていきます。


④一周したら巻き始めに合わせて巻き終わりもぐるぐる。
全体のバランスを見てスカスカな部分に花や葉を刺していきます。


⑤麻紐を通して飾る用のわっかを作ります。
(point) たまたま手元に素敵な布があったので、ビリビリっと割いて結んでみるとたちまち可愛いリボンに。お好きなアイテムで装飾するとより愛着がわくこと間違いなしです。


⑥全体の形を丸くなるように手で整えたら完成!

花も終わりかけで少々グリーンが多くなりましたが「初夏を感じるこの時期には爽やかでいいよね」なんてワイワイできるのもワークショップの醍醐味ですよね。

次回はユーカリなどと組み合わせてみようかななんて来年の春にまた一つ楽しみが増えました。
ミモザのリース完成

「さてどこに飾ろうかな。」

春は想像よりとても短いですから。ぜひあなただけのリースを作って存分に春を満喫してみてくださいね。