くらすかたち あたらしいと、なつかしいがつながる暮らし

ものづくりのかたち
2023.07.04

ししゅうつなぎの生まれる場所へ(1)

伝え手 maya

桐生のこぎり屋根

刺繍の歴史が刻まれる桐生へ

桐生市は群馬県の東側、栃木県との県境に位置しています。
この日は天気の話が盛り上がるほどうれしい快晴。
気持ちよく澄んだ空のなかに見える赤城山にどんどん近づいていきます。

高速を降りて桐生市に入るとさっそく繊維業の会社の看板がちらほら。
さすが「繊維のまち」ですね。
当店のある千葉県印西市からは車で2時間30分ほどで到着です。
街のなかを進み、まずは桐生市の織物の歴史を知るところから。
最初の目的地、桐生織物記念館におじゃまします。

桐生の織物の歴史を学ぶ

1934年に建てられた桐生織物記念館は、青緑の瓦ぶき屋根の大きく立派な建物で、2階には小ぶりのステンドグラスもあり、まるで異国の洋館のよう。
国の登録有形文化財にも指定されています。

桐生織物記念館

入り口を入ってすぐのところには、見上げて首が痛くなるほど巨大なジャカード織機(しょっき)が設置されています。

ジャカード織機

2階へ昇る広い階段の低めに作られた手すりに、見た目は洋館のようでも日本の建築なのだと実感します。
2階の目の前には組合事務所。今も昔も桐生の繊維業の拠点なのですね。

右に進むと常設の織物展示室があります。
書棚には、昭和30年頃から保存されたテキスタイルをまとめた資料がびっしり。
貴重な資料ですが、なんと素手で直接触って全てが見られます。
当時の実物のテキスタイルがページごとに貼られており、質感まで体感できます。
ページをめくれば「これも素敵、こっちも素敵!」ちゃんと見始めてしまったら一日あっても足りないかも。

織物の展示だけでなく、蚕からどのように糸を紡ぐのかなどを詳しく知ることもできます。

昔ながらの機織りを体験

せっかくなので、機織り体験もさせていただきました。
専門用語の説明を受け、手取り足取り丁寧に織り方を教えてくださいます。
織る時のガシャンガシャンという音は、耳に心地良いですね。

体験用の織り機の隣に数台、かつて桐生で使われていた織り機が並んでいます。
織り機が新しくなるにつれて、素人でもわかるくらいパーツが少なくなり、自動の部分が増えていく過程を見ることができます。

桐生の歴史ある織物文化を象徴するモダンな建物のなかで、デジタルのない時代とは思えない絵画のように美しいジャカード織の多様な作品などを目にすることができました。

桐生織物記念館

所在地:群馬県桐生市永楽町6-6
開館時間:午前10時から午後5時まで
休館日:土日祝日、8月13日~16日、12月29日~1月3日、その他臨時休館あり
https://kiryuorimonokinenkan.com

桐生はのこぎり屋根の街

桐生織物記念館を後にして、桐生の街を散策。
桐生の住宅街の中はどこも細い道で、どこか懐かしい低めの建物が並びます。

街の中を散策すると、のこぎりの刃のような尖った三角屋根がぎざぎざと連なる形状の屋根を持つ建物にちょくちょく出会います。
桐生名物ののこぎり屋根の風景です。
かつては工場だった建物が、のこぎり屋根を残したまま、現在はワインセラーやベーカリーカフェになっていたりもします。

「赤城山の向こう側は雪が降るけれど、この辺は雪よりからっ風」

桐生の街並みに欠かせないのこぎり屋根は、雪の積もらない地域だからこその形でもありました。

旧曽我織物工場
桐生絹織株式会社

旧金谷レース工業株式会社鋸屋根工場(ベーカリーカフェ・レンガ)

桐生市内を走る低速電動コミュニティバス「MAYU」のバス停のサインものこぎり屋根!

続いて、伝統の刺繍技術を見学をしに村田刺繍所さんへ

(2)へつづく…

記事で紹介した商品『ししゅうつなぎ』は下記の店舗で取り扱っています。