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グニラさんとのFIKAの時間「ミッドサマー(夏至祭)を楽しみましょう!」

FIKA(フィーカ)とは、日本でいう10時や3時の「おやつの時間」のような、スウェーデンの伝統的な習慣です。
仕事中のコーヒーブレイクとして同僚とおしゃべりしたり、休みの日に外でちょっとお茶しよう、なんていうのもスウェーデンのFIKA文化なのだそうです。
グニラさんとのFIKAのおともは、手作りの美味しいお菓子。
コーヒーのおかわりもすすみ、時間が穏やかに流れます。
グニラさんのご自宅は愛着のある北欧のものたちに囲まれて、あれにもこれにも胸がときめいてしまう。その中にはお子様がまだ小さい頃に一緒に作った飾りものや、壁に掛かったたくさんの家族写真(ご主人はフォトグラファーなのです)も混じり、肩肘張らないナチュラルな心地よさが満ちています。
日々の暮らしの楽しさを感じられる素敵なおうちの空間でゆったりと過ごすFIKAの時間。
グニラさんに教わる、北欧のこと、暮らしのこと、ものやインテリアの色々なこと。
自分らしい暮らしのためのヒントや学びを、ゆるり綴っていこうと思います。

*FIKAは日本語では”フィーカ”と表されることが多いですが、スウェーデン語の発音は”フィーキャ”の響きに近いです

スウェーデンのミッドサマー(夏至祭)とはなんでしょう?

6月下旬、関東地方は梅雨まっただ中。

グニラさんのお宅へ伺うと、玄関横に植えられた鮮やかな青紫色の紫陽花がまずは私たちをお出迎えしてくれました。

今回のFIKAのテーマはミッドサマーです。

ミッドサマーとは夏の到来を祝うスウェーデンで開催されるお祭りのこと。(スウェーデン語ではミッドソンマルと言うそうです)

スウェーデンに住む人々にとっては、冬のクリスマスと同じくらいに大きな夏のイベントなのだそう。

待ちに待った夏を喜び祝うという感覚に共感、とまではいきませんが、以前は夏至のことを「一年で一番日が長い日」というほどにしか認識していなかった私でも、夏の北欧に何度か足を運ぶ機会を得てからはその感覚が少しわかるような気がしています。

夏至の日は世界共通で年によって変わりますが、6月22日頃です。

日本ではジメッとした湿気のジリジリ暑くなる日々が続きますが、北欧地方では夏の到来を感じさせる眩しい日差しの日が多くなります。

白夜のため22時頃でもまだ明るくて、日が昇る時間もまた早いので朝晩の気温差も穏やか。

湿気もなくテラスで朝から晩までぼーっとしていたいほど、とても過ごしやすい気候なのです。

グニラさんが子どもの頃の冬の話を教えてくれました。

「冬の間は学校に行く時間も帰る時間も真っ暗なのよね。だから、朝ごはんの後にはビタミンDを飲むのが日課だったし、授業の間の10分間の休憩時間には、少しでも太陽の光に当たるために、みんな外に出て日光浴をしなければならなかったのよ」

日照時間の極端に少ない暗い冬の季節に耐え、5月まで続く長く厳しい寒さを乗り越えてやっと来る明るい夏。

北欧の人々にとって太陽の下で過ごせる夏の時間は、本当にとても貴重なのだと感じます。

ミッドサマーのテーブルセッティング

この日のグニラさんのダイニングテーブルの上は、スウェーデンカラーの青と黄色が鮮やか。淡いグリーンも散りばめられて、初夏らしいとても爽やかなセッティングです。外はムシムシしているので、室内に招かれて涼やかなしつらえに、まずは目が喜んでしまいます。

テーブルの主役は卓上サイズのミッドサマーポール。

その奥にはスウェーデンの民族衣装を着て踊る人々のペーパーデコレーション。

実際のミッドサマーのお祭りもこんなふうにポールを囲んで、みんなでフォークダンスを踊るのだそうです。

ミッドサマーを喜ぶ楽しいお祭りの雰囲気にワクワクします。

庭の小さな花々と一緒に花瓶に飾られているのはディルの花。

繊細だけれど大きな丸いシルエットがパッと目を引きます。

ディルはスウェーデンの食卓には欠かせない風味付けの薬草ですが、花の部分をこんな風に飾りにも活用できてしまうなんて、グニラさんのアイディアは自由で素敵です。

自宅で楽しむミッドサマーのデザート作り

さて、今回の楽しみなFIKAのおともはロールケーキだそう!

「スウェーデンではこの時期がイチゴの美味しい季節なのよ。だから今日もロールケーキにイチゴを使おうと思ってスーパーマーケットを2軒も回ったんだけど、見つけられなかったの。日本のイチゴのシーズンはやっぱりもう過ぎちゃってるからよね。」

と、グニラさんはケーキの生地を天板に流し込みながら教えてくれました。

ミッドサマーのデザートには、スウェーデンではこの時期が旬のイチゴ、と決まっているのだそう。

「それでね、どうしようかなと思ったけれど、代わりにこんなのもアリかな?と思って、これを買って来てみたの。」

と楽しそうに笑いながらグニラさんが見せたくれたのは、イチゴ味のコアラのマーチ!

「ピンク色で可愛いでしょう?ケーキの上に載せたらいいわよね?」とニッコリ。

あれがない、よりもこれを代わりにしたらいいじゃない、と自然に考えられるグニラさんの発想に胸がキュンとします。

四角く構え過ぎずに自分なりにラクに暮らしを楽しむ、ってこういうところ。

焼きあがった生地に手作りのイチゴジャムをたっぷり塗って、グニラさんは手際よくくるくると巻いていきます。

巻き終わった表面には、いつの間にか仕込まれていたココナッツフレークがまぶされていて思わず、わあっと小さな歓声が出てしまいます。

「ココナッツはね、別になくてもいいのだけど、このほうがお洒落になったわよね。」

いくつになっても、こんなまっ直ぐな気持ちでおもてなしがしたい。

相手と自分がいっしょに楽しく過ごす時間のために。

グニラさんのロールケーキからは教わることばかりです。

ケーキのロールは厚めにカットして、上にはたっぷりの生クリーム。

サービス精神旺盛なグニラさんは、いつも嬉しそうにたっぷりと生クリームを絞ってくれます。

それだけで、自分で絞るより何倍も美味しそうに見えてしまうのはなぜでしょう。

仕上げにクリームの上にイチゴ味のほんのりピンク色のコアラのマーチを載せて、完成です!

FIKAでミッドサマーを楽しむ!

さあ、主役のロールケーキをいただきます。

焼きたてのふわふわな生地がとっても優しい美味しさです。

テーブルの上にはよく冷えたヨーグルトケーキ(夏の間はよく作るそう)や、キャラメルクッキーまで並んでいます。

取り皿までミッドサマーなFIKAが始まりました!

このお皿のセットは、おばあさんからグニラさんが受け継いだもの。

取り分ける前のロールケーキが盛られていた大皿にはスウェーデンと書いてあり、代表的な青と黄色のスウェーデンの民族衣装を着て踊る親子が描かれています。

取り皿のほうにも町や村の名前が書いてあり、それぞれの地方独自の民族衣装を身に付けた人々が描かれています。

民族衣装と一口に言っても、スウェーデンでは町や村によって色や柄にさまざまな違いがあるのだと知りました。

描かれた人々はダンスをしていたり野菜を採った帰り道のようだったり、スウェーデンの夏のワンシーンが切り取られているのだと感じます。

愛らしい草花模様で縁取られているのも、お花のベストシーズンであるミッドサマーにピッタリです。

可愛らしいスウェーデンの手作り民族衣装

ロールケーキを頬ばりつつ取り皿の絵柄を見比べながら、グニラさんの育った町の民族衣装はどのようなものだったのかを尋ねてみると、なんと一着お持ちということで、見せていただけることになりました。

針仕事ではセミプロの腕前を持つ叔母さまが作った、それを譲り受けたものだそう。

スカートとブラウス、それにエプロンとベスト、付け襟に帽子まであります。

この民族衣装はグニラさんの育った町のお隣のご両親が生まれた町のデザインで、やわらかな白、赤、ピンク色のカラーコーディネートになっています。

グニラさんがこの衣装を身につけ、娘さんの結婚式に参列した際の写真も見せていただきました。

正装としても使える民族衣装というところでは、日本の着物と同じようなものなのかもしれませんね。

それぞれのアイテムがとっても可愛らしいスウェーデンの民族衣装。

帽子、被らせてもらっちゃいました。

森で木の実や花を摘んだり、外で踊ったりしても、洗える丈夫な木綿の素材であったり、自然の景色に馴染む素朴な色合いというところも、スウェーデンらしい気がします。

赤ちゃんからお年寄りまで似合いそうなレース付きのデザインにほっこりしちゃいます。

我が家のミッドサマーポールの思い出

ミッドサマーのお祝いに欠かせないミッドサマーポール。

メイポールやスウェーデン語でマイストング、ミッドソンマルストングとも呼ばれています。

町の集会所の周りや公園にミッドサマーポールを立てて、人々はその周りを囲んでフォークダンスを踊り、ミッドサマーをお祝いします。

お祭りが終わると、ポールから飾りの草花を取り、横に倒した状態のまま保管します。そしてまた次の夏に、再び白樺の葉と季節の野花でポールをデコレーションして使うのです。

そんなミッドサマーポールを手作りしてお庭に立てるご家庭も多いようです。

グニラさんのお姉さんのご家族が作ったのは、大人の背丈ほどの高さのもので、子どもたちで飾りつけをしていたそうですが、そういうシーンは故郷の良い思い出のひとつになるのだろうなあと感じました。

大きいポールを立たせる時は、写真のように大勢の大人の男性が少しずつ立たせていきます。

「最初は子どもたちも一緒にみんなで手伝った後に、大人の男の人たちが頑張ってウーンウーンと引っ張るのだけど、何10メートルもあるような大きなポールだと、ちゃんと最後まで立たせられるかどうか、ドキドキして見ているのが楽しかったのよ。」

そう教えてくれるグニラさんの顔からは、楽しかった思い出が伝わってきます。

ミッドサマーの夜のロマンチックな言い伝え

スウェーデンのミッドサマーには、こんなロマンチックな言い伝えも。

野外でダンスを踊るミッドサマーの夜、家に帰る前に野の花を7種類摘んで、それを枕の下に敷いて寝ると、将来の結婚相手を夢に見る、というものです。

必要な花の種類は7種類のところも9種類のところもあるようで、地域によって伝わり方は違うようです。(ノルマは少ない方が達成が楽ですね)

グニラさんはどんな夢を見たのでしょうか?

「私の夢は真っ黒だったのよ。おかしな夢、と思っていたけれど、あれは日本人の夫の頭の後ろ姿だったのね。出会った頃は髪も黒くて量も多かったから。やっぱり当たるのね!」とグニラさん。

お茶目なグニラさんトークには大盛り上がりしてしまいました。

ミッドサマーお天気アルアル

ミッドサマーではあまり晴れることがない、と言われるほど、お祭りの日のお天気はいまいちなことが多いそうです。

「いい天気だと、あれ?今年はいい天気なの?!と驚くくらいよ。」とグニラさん。

日本の夏至の頃では、雨が降ると余計に蒸し暑くなってしまいますが、湿気のないスウェーデンでは、太陽が隠れてしまうと結構寒いのだそうです。

晴れていて気持ちよく過ごせる時期なのに、お天気は気まぐれですね。

娘さんが小さい頃にミッドサマーに参加した時には、可愛いワンピースだけではとても寒くて、ズボンやカーディガンも一緒に着せたくらいよ、という思い出話も。

それでも無理矢理にでも必ず屋外で食事をして、ダンスをしてお祝いするのだそうです。

ミッドサマーのディナーメニュー

今年の夏至の日は外のテラスで食べたのよ、と言ってグニラさんがスマートフォンに残したミッドサマーディナーの写真を見せてくれました。

「ミッドサマーの食事は新じゃがいもがメインかもしれないわね。ディルと一緒に茹でたのよ。」

ヨーロッパ圏では主食のじゃがいも。

日本人が毎年、美味しい新米を楽しみにしているのと同じように、旬の新じゃがいもを食べられることはミッドサマーの楽しみのひとつなのですね。

じゃがいもの他には、IKEAで調達したサーモンとニシン、それからローストビーフにサラダ。

この日はスーパーでイチゴも手に入ったので、デザートには念願のイチゴも食べたそうです。

すべてが手作りではなくても、買ってきたものも、少しの手間をかけて器に盛ってテーブルセッティングをする。

「そうするだけでも気分が違うでしょう?」とグニラさん。

器にもこだわりのあるグニラさんだからこそかもしれませんが、日々の暮らしの中での力の抜きどころ、力の入れどころ、勉強になることばかりです。

日本の夏を自分らしく楽しむ

夏の夜のお祭りで民族衣装を着て、皆で踊る。

スウェーデンのミッドサマーのお話はすべてが新鮮だったのに、浴衣を着て盆踊りをした夏祭りの楽しかった記憶がよみがり、懐かしい気持ちも込み上げてきました。

「I believe in Summer!」

ミッドサマーを歌う曲の歌詞を解説してくれたグニラさんが言っていました。

梅雨、湿気、酷暑と、日本の夏は大変なところもあるけれど、夏を信じるマインドがあれば、工夫しながらこの季節をもっと楽しめるような気がします。

ミッドサマーを彩るイチゴのロールケーキの作り方

グニラさんから教えてもらった今回のFIKAのおとも『イチゴのロールケーキ』のレシピをご紹介。
(今回はイチゴの代わりにイチゴ味のお菓子を添えて)

材料
卵 3個
小麦粉 200cc
重曹 小さじ1
砂糖 150cc
イチゴジャムまたはコンフィチュール お好きなだけ
生クリーム お好きなだけ(多めが美味しい!)
イチゴもしくは代用のお菓子 上に載せる分
ココナッツフレーク お好みで
作り方
① 卵と砂糖をボウルに入れ、ふわふわになるまでよく混ぜる
② 小麦粉と重曹を混ぜて、①に加え混ぜ合わせる
③ 250°に予熱したオーブンで5分焼く
④ お好みで生地の表面にくる側にココナッツフレークをまぶす
⑤ 生地が温かいうちに、内側にくる側にイチゴジャムなどを塗る
⑥ 巻き上げたら、巻き終わりを下にして少し冷ます
⑦ 5cmくらいの厚めにカットし、生クリームを絞る
⑧ 生クリームの上にイチゴやイチゴ味のお菓子を載せて完成!

グニラさんとのFIKAの時間「スウェーデンのイースターを祝う」

FIKA(フィーカ)とは、日本でいう10時や3時の「おやつの時間」のような、スウェーデンの伝統的な習慣です。
仕事中のコーヒーブレイクとして同僚とおしゃべりしたり、休みの日に外でちょっとお茶しよう、なんていうのもスウェーデンのFIKA文化なのだそうです。
グニラさんとのFIKAのおともは、手作りの美味しいお菓子。
コーヒーのおかわりもすすみ、時間が穏やかに流れます。
グニラさんのご自宅は愛着のある北欧のものたちに囲まれて、あれにもこれにも胸がときめいてしまう。その中にはお子様がまだ小さいころに一緒に作った飾りものや、壁に掛かったたくさんの家族写真(ご主人はフォトグラファーなのです)も混じり、肩肘張らないナチュラルな心地よさが満ちています。
日々の暮らしの楽しさを感じられる素敵なおうちの空間でゆったりと過ごすFIKAの時間。
グニラさんに教わる、北欧のこと、暮らしのこと、ものやインテリアの色々なこと。
自分らしい暮らしのためのヒントや学びを、ゆるり綴っていこうと思います。

*FIKAは日本語では”フィーカ”と表されることが多いですが、スウェーデン語の発音は”フィーキャ”の響きに近いです

セムラを食べながらイースターについて教わりました

遅く咲いた梅も、もう満開。
3月になったばかりの暖かい日に、グニラさんのお宅へおじゃましました。

今日のFIKAのおともはスウェーデンの伝統菓子『セムラ』です。
ダイニングに続く隣りのキッチンでは、グニラさんが手際よくセムラを作っていました。

丸いパンの上の部分を薄く切り取ると、
「ここにアーモンドペーストを入れますね。」と、
茶色いバターのかたまりのようなものを小さく切ってパンの真ん中に差しこんでいきます。

「これはね、卵白とお砂糖とアーモンドだけでできているのだけど、日本ではほとんど売っているのを見ないわね。」
確かに日本ではあまり馴染みは少ないと思います、初めて見ました、と答えると
「そう?それじゃあ良かったら食べてみて。」
と、味見用に切り分けてくれるグニラさん。
思ったよりも甘さ控えめでなめらかな舌触り。アーモンドの風味がとても豊かです。
「甘くないでしょう?だから生クリームはたっぷりの方が美味しいのよ!」

「もうちょっと?もうちょっと欲しいでしょう?」と張り切ってたっぷりと生クリームを絞ってくれるグニラさんに

「わあ、もういいです~!」なんて、幸せなやり取り。

最後にさっき切り取った蓋の部分を帽子のようにちょこんと載せて。
仕上げに粉砂糖を振って完成です!

セムラとともに席につくと、ちょうど視線の先に、枝に刺さったビビッドなイエローとパープルの羽根飾り。
「いま出しているイースターの飾りはまだこれだけなのよ。」
そういえば、セムラもイースターの時期に食べるもの、ということで
私たちはちょうどイースターの直前にお邪魔したようです。

コーヒーを淹れていただき、FIKAの時間の始まり。
今日のFIKAのおとも、セムラをさっそくいただきます。

セムラは見た目は完全におやつだけれど、パンも生クリームも甘さはかなり控えめ。
朝起きたてでもペロッといただけそうなほどに優しい。
パンはやわらかいのだけれど、ふわふわという感じではなく密度のしっかりした生地です。
スウェーデンでは温めたミルクに浸してシナモンを振って食べる人も多いとのことで、浸した時にやわやわになりすぎないパンの固さがちょうどいいのかもしれません。
食べごたえもおいしさも100点満点!

飾り付けを楽しむのがスウェーデンのイースター

セムラを食べ終わると、イースターに向けこれから飾り付ける予定の小物たちを広げて、スウェーデンのイースターについて説明してくれました。

そもそもイースターについてあまりよくわかっていない私たちのために、グニラさんが「スウェーデンの祝祭日と伝統行事」について書かれた日本語のパンフレットを持ってきて、楽しく説明を続けます。

「イースター」とはキリストの復活祭のこと。
処刑されたキリストが予言通り復活したことを祝う、キリスト教圏での行事です。
ヨーロッパの多くの国では、イースター当日は祝日。
日付は「春分の日以降の最初の満月の次に迎えた日曜日」とされているため、毎年異なります。
昔はイースターまでの40日間は断食をした時代があり、断食の前にはご馳走を食べるという風習があったそうです。
その時のご馳走の中に、セムラが登場します。セムラを大きく作るのは、しばらく食べられないから!だったのかもしれません。

そしてイースターといえば、卵やウサギやニワトリのイメージがあります。
諸説あるようですが、生命誕生の象徴といわれる動物がモチーフになっているようですね。

日本で買ったものもありますが、ほとんどがスウェーデンから持ってきて大切にとっておいたもの。
どれもこれも本当に可愛らしいです。

飾り付けは家族から受け継いだ大切なものを

スウェーデンの家族から受け継いできたというテーブルランナーを見せてくれます。
「この花はね、スウェーデンではポスクリリアと呼ばれています」
ポスクリリアは日本語に直訳すると、「復活祭の百合」。
日本でも春先に咲くこの水仙の花は、スウェーデンではイースターに欠かせない、象徴の花です。

日本人の私は春の花といえば、満開の桜の優しいピンク色を思い浮かべます。
スウェーデンの人々は、黄色の水仙が咲き乱れる野の景色を想像するのでしょうか。

 

「これはちょっと穴が空いちゃっているんだけど、そーっと使っているのよ。もう100年以上も前のものなの」

もう一枚は薄く繊細な布地に、ステッチが細やかな刺繍がとっても素敵。
大切にずっと引き継がれ使われているこのテーブルセンターには、スウェーデン語でハッピーイースターと書いてあります。

 

グニラさんのイースターコレクションは、ほとんどが卵とニワトリ。
ウサギもまたイースターの象徴として有名ですが、スウェーデンでは卵とニワトリのモチーフばかりだったとのこと。
余談ですが、アメリカやドイツのイースターではウサギのモチーフをよく見かけるように思います。
調べたところ、イースターバニーが現れたのはドイツが起源と考えられているとの資料を発見。
国や地域や宗派によって、イースターの雰囲気は少し異なりそうですね。

小さな魔女に出会えるスウェーデンのイースター

スウェーデンのイースターのお話の中でとくに面白かったのは、魔女の話。

キリストが生き返るイースター前日の土曜日には特に魔法が強くなり、ほうきで飛んでくるとされていました。イースターの期間には魔法の威力が増した魔女たちが世を徘徊し、魔法をかけると信じられてきたのだそう。

この怖い魔女のエピソードは、子どもにとってはイースターの楽しいイベントの一つになっているそうで、
「子どもたちはほうきを持ってね、魔女に仮装して近所の家のチャイムを押してお菓子をもらうの。ちょうどハロウィンのトリックオアトリートみたいにね。それと、魔女は火を怖がるからということで近所のあちらこちらで焚き火をしているのだけど、まだ春先でちょっと寒いから、あったかくて子どもはすごく楽しいのよ。」
思い出話をするように教えてくれるグニラさんの表情は、いたずらっ子のようで、とても楽しそう。

そうして土曜日が終わり、イースター当日の日曜日の朝になります。
「日曜日はお祝いで卵をたくさん食べるの。うちはニワトリを飼っていたから卵がいっぱいあってね。兄弟たちはすごい量を食べていたけれど、私は5つしか食べられなかった」
卵をほお張る子どものグニラさんを想像すると、おもわず笑みがこぼれてしまいました。

いままであまり知る機会のなかったイースターのこと。
グニラさんの美味しいセムラとともにイースターカラーに満ちたFIKAを過ごさせていただき、スウェーデンの家庭でのイースターの様子を少しだけ思い浮かべることができたような気がします。
宗教的行事ですが、構えすぎずに、春を楽しむという観点で、日本の暮らしの中にも取り入れることができそうですね。

スウェーデンの伝統菓子セムラの作り方

グニラさんから教えてもらった今回のFIKAのおとも「セムラ」のレシピをご紹介。

材料
マーガリンもしくはバター 75g
牛乳 300cc
小麦粉 900cc
重曹 ティースプーン2分の1
砂糖 100cc
ドライイースト 12g
卵 1個
卵 1個(パンに塗る分)
生クリーム お好きなだけ(多めが美味しい!)
作り方
① バターを溶かし牛乳を加える
② 小麦粉、重曹、砂糖、ドライイーストをボウルで混ぜる
③ ①を②のボウルに加える
④ 卵を入れて、こねる
⑤ 30分休ませる
⑥ 30等分に丸く成形して、再度30分休ませる
⑦ 塗る用の卵を泡立てて、生地に塗る
⑧ 250°で5~8分焼く
⑨ 焼き上がったセムラの上部をそれぞれ薄く切り取る
⑩ セムラの中にアーモンドペーストを埋めこむように入れて、生クリームをたっぷり搾り、⑨で切り取った部分をその上に載せて完成!
⑪ お好みで粉砂糖を振りかける

気軽に草花を飾ってみる「小さなラトビアの手編みかごにミモザを活ける」

pinumu pasaule かごとミモザ

3月に入り関東では平年より温かい日が続くなど、いよいよ春の訪れが感じられます。

旧暦では3月は弥生と呼びますが、由来は草木がいよいよ生い茂る月(木草弥生い茂る月)が縮まったと言われています。そして3月は他にも花月、花見月、桜月、桃月などたくさんの呼び名があります。暖かくなり、桜や桃といった花々を愛でるこの季節を待ち望んでいたのは今も昔も変わらないようですね。

日本の春の花といえば、桜、桃、菜の花が真っ先に思いつきますが、イタリアでは「春の訪れを告げる花」といえばミモザ。3月8日の国際女性デー(International Women’s Day)は「ミモザの日」とも呼ばれ、男性が日頃の感謝を込めて女性たちへミモザの花を贈る習慣があるんですね。
また、フランスのコート・ダジュールでも毎年2月末に「ミモザ祭り」があり、街中がミモザの黄色と優しい香りに包まれるそうです。

ミモザのひとつひとつが黄色いぽんぽんのようなかわいらしい花は、まるで空から明るく照らしてくれる太陽みたいで元気になりますね。

pinumu pasaule やなぎの花かご mimosa ミモザ

ラトビアのかごの中にジャムの空き瓶を入れてミモザを生ければ、簡単に趣きのあるフラワーアレンジメントのできあがり。

かごいっぱいに春を摘んできた気分になりますね♪

pinumu_pasaule ミモザをやなぎのかごに生ける

 

 

記事で紹介した商品『PinumuPasauleの手編みカゴ』は下記の店舗で取り扱っています。

気軽に草花を飾ってみる「おうちで育てる春球根の植え付け。marimekkoの食器を植木鉢にアレンジ」

marimekko シイルトラプータルハ ボウルに球根を植える

Spring is the time of plans and projects.
春は企画と計画の時期である。

ロシアの小説家レフ・トルストイの言葉です。そう、何かを始めたくなるのがこの季節。暖かくなってきたこの時期にあった言葉ですね。

私も殺風景な部屋をすこし明るくしたいなあ、と思いましたのでお花屋さんでムスカリの芽出し球根を買ってきました。

ムスカリの花言葉はいくつかありますが、よく言われるのが

「明るい未来」

これまた春にピッタリ!前向きな言葉に元気をもらえますね。

水耕栽培でも十分に育てられますが、今回は雪が解けて新しく植物が芽吹いたイメージで水苔などで使用して植え付けてみます。

材料
・お好みの芽出し球根(今回はムスカリとヒヤシンス)
・お気に入りのボウル
・水苔(ひたひたの水に浸して十分に水分を含ませます)
・土(培養土)
・軽石

まずは球根の根を優しく洗ってあげましょう。

お気に入りのボウルの中に軽石を敷きます。

今回使用したのは、マリメッコのシイルトラプータルハというシリーズの500mlボウル。シイルトラプータルハとは「市民菜園」を意味しますが、目まぐるしい都会から花や野菜の実る市民菜園への旅を描いた2009年発表の作品です。モノトーンの線中心のデザインが、植物の緑を引き立てます。

鉢底石

ボウルは水が抜けないので土の下に軽石を敷くことで排水性、通気性が高まり根腐れを防止します。今回は市販の木炭入りのゼオライトです。

その上に土を入れて、根が馴染むように球根を置きます。(球根を土に埋め込みすぎると根腐れを起こしてしまうので購入した時と同じ高さにしましょう)

最後に球根の周りの土を隠すように水苔を乗せ慣らして完成♪

マリメッコのカップに

マリメッコのボウルにムスカリ

ボウルが小さなお庭のようで、部屋に置けば一気に春めいたようになりました。

すでに花がついていれば2~3週間楽しめますよ。
普段、植物にふれることがなかった方もプチガーデニング、始めてみませんか?

グラスやガラスの器にも似合います

手軽に楽しんだ後には枯れて球根だけになりますが、そのままお庭やプランターに植え替えておけば、来春も芽が出て楽しめます。

庭のむすかり

ムスカリは毎年球根ごと植え直して楽しめます

 

記事で紹介した商品『marimekko シイルトラプータルハ ボウル』は下記の店舗で取り扱っています。

気軽に草花を飾ってみる「おうちでお花見。小さなガラス花瓶に桜を生けるコツ」

さくらとスクルーフ

東京では先週桜の開花宣言がされ、関東では3月後半に桜の見頃を迎えるそうです。天気のいい日に外で桜を見ながらお散歩もいいですが、家の中でも春の訪れを感じたいなと思い桜を生けて飾ってみました。

手持ちの花瓶がどれも小さめのものなので、丈の長い枝ものを生けるのは難しそうだななんて思いつつ試行錯誤しながら生けてみたのでご紹介します。

スクルーフROは口が広く洗いやすい

生ける前に花瓶の下準備。
今回使った花瓶はSKRUFのROベース。幅10cm高さ10cmくらいのガラスのフラワーベースです。

生けてからの水質を保ち桜が長持ちするように、花瓶をしっかり洗います。ROベースは口が広くて底が浅いからとっても洗いやすく花瓶の中を清潔に保ちやすいのが嬉しいポイント。きれいになったら準備完了!

花瓶に合わせて長さを調整します

長さを揃えて切り詰めます

まずは枝のカットから。
太い枝から、大まかに同じくらいの長さに切り分けていきます。それから花瓶にさしてみたり添えてみたりして「どういうふうに生けようかなあ」「この枝どっち向けようかなあ」なんて出来上がりをイメージしながらどれくらいカットするのかを決めていきます。

今回は準備した桜が少し長めだったので、花瓶のサイズに合わせて全体的に短めにカットしました。ある程度カットできたらいよいよ花瓶に生けていきます。

放射線状にいけていきます

何も考えずにそのまま生けてみると、ROベースの底が浅く花瓶の中の空間が広いので枝が倒れて広がってしまいました・・・。難しい・・・。

花瓶の内側に当たるようにカットします

どうしようかななんて考えながら、斜めにカットした枝の切断面を花瓶の壁に引っ掛けるようにいろいろな角度から放射線状に挿してみると・・・

できあがり

キュッと枝が支え合って広がることなくきれいに生けることができました!
枝が少ないとまた広がってしまったので、多めの枝を準備したほうが支えが増えてうまくまとまりますよ。

小さな花瓶は長い枝ものを生けるには向いてないかなと思いましたが、コツを掴んでうまく生けられればコンパクトで飾りやすいサイズ感ですし、お部屋の雰囲気をちょっと変えたいときにはこれくらいの花瓶がぴったりですね。

お家にいる時間が多い今日このごろ、今年はお家の中で自分の生けた桜でお花見なんていかかですか?

 

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気軽に草花を飾ってみる「サイズ感ぴったりの北欧スクルーフ社のガラスベース」

桜も葉桜になりはじめ、いよいよ新緑の季節を迎えて風も気持ちいいです。

庭で長く咲いていたクリスマスローズもそろそろ終わり。種がこぼれる前に適当に剪定しておくと、毎年どんどん増えて嬉しくなりますね。

最後の切り花は新しいスクルーフの花瓶、黒PONNYにいけてみたところ、形と大きさがぴったり。この花瓶はとっても使いやすいなと改めて思いました。
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